10月第二週の週末金曜日の東京タイム、前日システムダウンで終日取引不能に陥った東京証券株式市場は、なんとか前場から通常通り売買がスタートしほっと一息ついたのですが、午後から戦慄の報道が市場を駆け巡ることとなりました。

それがトランプ大統領の突然の新型コロナ感染ツイートにより大混乱ということになってしまいました。

当初側近がコロナ感染したことから自主的に隔離といった報道が流れたので予防措置かと思われたのですが、その後トランプ自身が夫妻で感染したことをツイートでつぶやいたことから、株もドル円も大きく下げることとなりました。

感染報道には続編が次々と出るわけではないことから大きく下げた相場は一旦戻る形になりましたが、NYタイム米株三指数は上下動を繰り返しながら結局マイナスで引ける展開となりました。

Photo MSNBC

今回ホワイトハウス関連で検査による陽性が出たのはトランプ大統領のほか大統領夫人、大統領顧問ホープ・ヒックス、ホワイトハウスのスタッフ1名、ホワイトハウスで働くジャーナリスト3名、共和党議長ロナ・マクダニエル、米国上院議員マイク・リー(R-UT)、米国上院議員トム・ティリス(R-NC)、ノートルダム大学のジェンキンス(WH訪問)と広がりを見せており、直近ではトランプの大統領選のキャンペーンマネージャーも陽性が出たようで、これ以上感染者が拡大しないのかにも注目が集まりそうです。

今後も病状等のニュースヘッドライン次第でいきなりリスクオフに

11月3日の大統領選に向けてはこれまでもこのコラムでお伝えした通り、かなり混乱が生じて簡単に大統領が選出されるに至らない時間が相当長くなりそうで、株式市場や為替市場はそれを嫌気して相当なリスクオフモードから、相場の下落を示現する可能性が広く市場でも認識されてきました。

トランプ自身が新型コロナに感染しその周辺でも感染者が拡大するという事態に陥ったことで、ここから選挙戦が戦えるのかという大きな疑問とともにトランプの病状がどう変化するかも金融市場には相当な影響を与えることになりそうで、事前予測ができない視界不良の状況に陥っているだけにいきなりの報道で相場が下落する危険性は高まりそうでより一層の注意が必要となります。

およそ考えたくはないことですが、とくに万が一トランプに何かがあった場合は株も為替も突然荒れた相場になる可能性があるので、ストップロスを入れるなどかなりの対策をとることが必須の時間帯になりそうです。

ドル円は再度104円方向に下落の可能性

2日トランプ報道を受けて104円台に突っ込んだドル円はその後深堀することなく105円台に戻して週の取引を終えていますが、週明けからもリスクオフは続きそうで、米国の問題でのリスク回避だけに為替では対ドルで円やスイスフランが引き続き買われる相場が続きそうな状況です。

ドル円15分足

9月21日に大きく下げてから105円台に復帰したドル円は10月第一週徐々に上値が重くなり、トランプ報道がでるまではかろうじて105円台前半を支えにしてきましたが、今回一時的にせよ下抜けしたことから週明けも105円台中盤に集中する一目均衡表の基準線やボリンジャーバンドのセンターラインなどが大きな抵抗になって次第に上値の重さから再度104円台を下押しするリスクが高まりそうです。

104.800円がサポートされればいいですがこれを下抜けした場合には104.400円以下も視野に入れる必要がありそうで、さすがに104円を割るまで下落するのかどうかは現時点でははっきりしませんが、トランプのコロナ報道次第ではあっさり下抜ける危険性も認識しておきたいところです。

ユーロドルはポンドに引きずられる動きに注意

ユーロドル1時間足推移

9月広範大きく下落したユーロドルは月末リバランスなどの影響もあってか、30日には大きく反転上昇し1.17台を回復するにいたりました。

しかし、UKのEU離脱を巡って報道が錯綜したことに大きな影響を受けポンドとともに上下動を繰り返す落ち着きのない相場を継続することとなりました。

2日のトランプ報道では一時大きく買われる動きとなりましたが、こちらもNYタイムでは落ち着きを取り戻し1.17前半で取引を終えています。

やはり週明けはリスクオフが継続するか次第でドルが売られユーロが買われる可能性がありそうですが、いよいよ終盤を迎えているUKとEUの離脱交渉がうまくいかない場合にはポンドの巻き添えを食って再度下落に転じる可能性もあり、政治の影響をかなり大きく受ける相場が続きそうです。

大統領選の10月はオクトーバーサプライズなどと言ってまったく事前に想定していなかったような事態が勃発することが多いわけで、今年のオクトーバーサプライズは相当大きなものになっており、ここから相場がどう展開するのかは市場参加者全体が判らない状況で、それぞれの思惑から相場が思わぬ方向に動く危険性を十分に認識しておく必要がありそうです。