週末博士ルービニ教授が指摘する3月暴落相場でのドル高の理由
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ルービニ教授といえばニューヨーク大学の大学院の博士で、もともとはトルコ生まれ終末博士の異名をもつ存在で、リーマンショックが起きる前の2006年9月のIMF総会において米国はこれから厳しいリセッションに陥ると予言し、さらに2008年2月には金融崩壊への12ステップを発表して、見事にリーマンショックにいたるまでのプロセスを予測して脚光を浴びる存在となった人物です。

内容は常にネガティブであることから終末博士などと呼ばれていますが、その分析力はずば抜けて高い存在といえます。

そのルービニ教授が3月の相場の暴落を振り返りながら、今後発生するリスクオフでは再度ドル高が起きると予測して非常に注目されています。

全資本市場がリスクに見舞われた3月の相場暴落

本来相場がリスクオフになりますと、株は売られ安全資産の債券に資金が集まるのが常となります。

3月の米国金融市場に起因した暴落では、当初米株の下落にともなって債券は買われ利回りは下落することとなりましたが、その後債券も売られる展開となり米債金利が飛び跳ねることとなりました。

つまり、通常の株と債券の逆相関関係がいきなり崩れだしすべての資本市場が売り一辺倒となり、分散投資の手法はリスクパリティを含めて完全に崩壊することになったとルービニ教授は説明しています。

このタイミングではあらゆるリスク資産が下げたため、安全資産としての逃げ場はどこにもなくなり、結果現金だけが資金の逃げ場になったというのがこのルービニ教授の見方なのです。

結局安全資産としてのドルに資金が逃避した結果が異常なドル高に

相場の暴落直後ドル円は当然のように大きく値を下げ101円台にまで下落しましたが、ほどなくして相場は上昇を開始していきます。

多くの投資家が戻り売りを試しましたが、結局下がることがないままショートカバーで111円台にまで上り詰めてしまうというFX投資家にとっては理解しにくい状況が示現しています。

その当時は株価の下落によるマージンコール、つまり追証支払いの手立てとしてあらゆる資産が売られドルを買い求める動きが加速して、こうしたドル円の高値を示現するに至ったという説明が主流となりました。

しかしルービニ教授はそれだけではなく、究極のリスクオフになるとリターンはゼロであるものの価格が下落しない唯一のものということで現金が逃げ場となり、もっとも利便性の高いドルに資金が集中したとみているのです。

したがって、この先再度リスクオフの時間帯が最示現する様な場合には、3月相場と同じようにドル円が買われる可能性を指摘しています。

確かにスイスフランや円も地域の安全通貨として機能しますが、3月の暴落時にはドルの流動性不足のためにその価値が低下し、結局ドル円がドル高に動いたという理解をしているようです。

その後世界の中央銀行が緩和に乗り出したことから、ドルが一方的に上昇することはなくなっています。

FRBが過剰な緩和をしてもドル安にならない可能性も

FRBが前代未聞の金融緩和を実施しはじめ、市場には驚くほどのドル資金が投入されています。

本来これだけドルの流動性が確保されれば通常はドル安が示現し、ドル円ならばどこかで円高にシフトする時間帯が巡ってくることが予想されるので、市場の下落は再度安全資産の米国債の買いにつながることからあらゆる通貨に対してドルの需要が高まることになり、結果ドルが上昇する局面が見られるのではないかとルービニ教授は予想しています。

株式相場の下落スタート局面では米債に資金が集まるものの、最終的な大暴落局面では結局現金が逃避先となって、ドルが買われるというのがルービニ教授のシナリオであるといえそうです。

同氏はまだ相場が底を打っていないと考えているようで、次に強烈なリスクオフ相場が示現した場合、ドルが市場で唯一の安全資産として機能するであろうことを示唆している点は非常に注目されます。

これで3月相場におけるドル円の不可解な動きもかなり理解できるのではないでしょうか。

問題はここからの相場の動向で、現状では妙に落ち着いた動きを見せている為替市場は、再度大波がいつ訪れることになるのかが大きなポイントになりつつあります。

次の暴落が起きた時に、ルービニ教授の指摘するような形が現れるのかどうかをまず確認することが重要になりそうで、最近でも米株が下落するとドル円が買われる動きは顕在化しており、同じような動きが再来するのかどうかが非常に気になるところです。