2日に発表された5月の米国雇用統計では非農業部門雇用者数・NFPは33.9万人増と予想を上回り、労働市場の強さを示す結果となりましたが失業率は3.7%とわずかながら上昇し、かつ平均時給も落ち着きを示したことから6月のFOMCでは一段の追加利上げが正当化される内容ではあるものの一旦停止して様子見、むしろ7月のFOMCでの利上げにシフトしはじめている状況となりました。
先週は指標が出る度に市場のFRB利上げに対する期待度が日替わりで変化するといった相当やりにくい相場が続きましたが、週明けは逆に材料枯渇となり、果たして動きがでるのかを心配する相場になりそうです。

2日のドル円相場

雇用統計を受けたドル円相場は一旦吹き上がり、失業率と平均時給の問題から戻りを試すような動きも観られたものの、債務上限問題をようやくクリアしたことで米株が大きく上昇、米債金利も反転上昇となったことからNYタイムでは大きく上昇し、140円手前まで上げて一週間の取引を終えています。

週明けは決定的材料を欠いてレンジ相場継続か

ドル円一週間の動き

先週ドル円は141円台を乗り越えようといったタイミングで本邦財務省が三者会議を実施する旨などを口にしたことから上値はいきなり重たくなり、指標結果で140円を越えても滞留時間は非常に短く139円台に戻る動きが顕著になっています。
また138円を割れて137円台に突っ込むことになれば明確に上昇トレンドは終了となるものの、下値も底堅いことから来週のFOMCまではレンジ相場で動きそうな気配が強まっています。
下値は138円から上値は141円、オーバーシュートで142円台というのもありそうですが、この週で新たな上昇トレンドが形成されるとは考えづらく、インフレ指標が強ければドル円は上、弱ければ下といった展開が予想されます。

ただ、6月のFOMCに仮に利上げ一旦停止となっても7月以降の利上げの可能性が残るため、ここからドル円が一方的に下落するとは考えにくいのも事実で、本邦財務省の為替再介入の可能性を見ながらどこまで上値を試すことができるかにも注目が集まりそうです。

ユーロドルは引き続き上値の重い展開か

ユーロドル一週間の動き

4月から5月にかけて何度も1.1100トライを試みて失敗したユーロドルは、足元では依然として下値を模索しかねない状況にさしかかっています。
テクニカル的に見ると日足のローソク足は主要なサポートラインを下抜けしはじめており、一目均衡表でも三役逆転に陥っています。
ファンダメンタルズ的にみても先週発表されたユーロ圏5月消費者物価指数が大方の事前予想を大きく下回る結果となり、ラガルドECB総裁だけがタカ派発言でさらに利上げを示唆するような口ぶりですが、市場ではECBの金融引き締めの一旦の打ち止めが意識されるようになってきています。
週明けは引き続きドルが主役で、米国の指標次第でユーロドルも上下動をしながら来週のFOMCを待つ相場が続きそうです。

6月相場はやはりFRBの利上げと日銀の動向が主要テーマ

米国の債務上限問題は一旦リスクを完全に回避されたことから2日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は続伸し、前日比701.19ドル高の3万3762.76ドルで取引を終えています。
これは昨年11月30日以来の上げ幅で、市場参加者が米国のデフォルトを回避できたことを素直に喜びリスク回避が完全に解消した動きとなっています。

日経平均のほうもすでに3万2000円が視野に入っています。
6月相場は一段と市場のテーマとなるリスク要因がかなり解消されてきたので、結果的に残るのはFRBの利上げ政策のスピートとそれに強烈なコントラストを作り出す日銀の政策決定会合の行方ということになりそうで、FRBはともかく日銀のほうは先行きの政策決定がどうなるのか非常に見えづらくなっている点が危惧されはじめています。

植田操作はすでに政策変更の難しさを講演会などで吐露しはじめており、黒田路線を踏襲することで得ることになった日銀総裁の座が政策変更を相当困難なものにしていることが露見しはじめています。
本邦財務省は為替介入はあくまで価格水準ではなくそのスピード感を重視して行うことを口にしていますが、今年の場合昨年ほどの過熱感はないので、さすがに140円台で介入に踏み切るとは思えないものがあります。
ただ一旦介入を行えば引くに引けない立場になるため、たとえば150円超で介入が実施された場合相場の下落について行かざるを得なくなることは予め認識しておきたいところです。

各国主要中銀の政策決定の間にあたる週明けの為替市場は材料感も乏しく、そう大きな動きにはならないであろうことは容易に想定できる状況ですが、それでも方向感を間違えて1円、2円やられてしまうとそれなりの損失を食らうことになるので、引き続き十分に注意したトレードを心がけることが求められます。