3月19日の日銀政策決定会合のおけるETF買いの政策変更を受けて下落した日経平均ですが、週明けはさらに大きく下落する形となり、昨年3月の暴落から実に1年近くかけて1万6000円台から3万円超まで上昇したその株価の上昇は完全に終焉した感が強くなっています。

春先には3万3000円超、年内に4万円といった楽観的な見方も飛び交った国内株式市場ですが、この1年余りの上昇は実に10年に一回あるかないかの大相場ですでに今回の下げで終焉した可能性もでてきています。

日銀は今回の政策変更で日経平均連動型のETFの買い付けを終了しTOPIX連動型に切り替え最低買い付け額の年6兆円を削除しただけですが、外人勢を中心とした投機筋はそれを快く思っていないようです。

日銀が買い支えるという思惑があったからこそ上昇した日経平均指数に大きな変化が訪れるリスクが高まりをみせています。

日銀のETF買い変更で日経平均寄与株は軒並み下落

注目されるのは日経平均に対する寄与度の高い株が軒並み下落していることで、ここからは日経平均が上昇しないと見た海外勢が中心になって売りに廻っている可能性が高まりつつあります。

Data Stockbrain NYダウ平均 リアルタイム チャート (nikkei225jp.com)

ファーストリテーリング、ファナック、東京エレクトロン、ソフトバンク、エムスリーなどは軒並み売られる形であり、特定10銘柄程度で大きく指数を伸ばすことができた日経平均は逆にそうした指数寄与度の高い銘柄が売られることでかなりの下げを食らうことになっていることがわかります。

そういう意味では下げが出れば確実に買い支えてくれた日銀のETF購入は市場に相当大きな影響を与えていたわけで、これがTOPIX型に移行するというのは日経225の指数取引に想像以上のネガティブインパクトがありそうな状況になってきました。

冷静に考えてみますと東証一部には米株市場のGAFAMのように圧倒的な利益を伴うハイテク株のような銘柄は存在しませんから、あくまで指数取引を持ち上げるために買われてきた10銘柄程度がもう見向きもされなくなるとここから3万円を超えて指数がどんどん上昇することを期待すること自体が無理になってくることもありそうで、日本株市場には思わぬ変化が到来してきているようです。

TOPIX型ETFが買われてももう日経平均は上がらない

TOPIX型のETFは銘柄数も広くなることから日銀が株価下落時にETF買いで応戦しても指数の下落を支えられるレベルはかなり薄くなることが考えられ、すでに8年も続いてきた日銀による人工値付け株式相場にも大きな転機が訪れそうです。

海外勢は日経平均の上下のオプションの売買と指数先物、そして現物株で日経指数寄与度の高いものの売買を行うことで日経225指数で大きな利益を出してきていますが、このやり方にも変化が訪れそうで当分日経平均は3万400円を超えるような相場に返り咲くことが難しくなりそうな状況です。

多くの市場関係者はこれまで急激な上昇が続いたので一定の調整の時間が到来していると説明していますが、当分上昇がやってこない可能性もありそうでここから相場がどう推移するのかが注目されるところです。

日銀は22日も既存の225型のETFを購入したようですが、焼石に水の感があり、すでに市場は日銀が日経平均買い支えのためにETFを買わないということだけが拾う認識されてしまった感があります。

そもそも米株が上昇するから連動して上昇するといったここ数か月の日経平均の動きには相当な違和感を覚えたものですが、いよいよそうした動きが切り離されるタイミングがやってきているのかも知れません。

為替の世界ではドル円はここのところ日経平均との相関性をすっかり欠く動きになっていますので直接的な影響はないように見えますが、それでも株価の下落局面では下げについていくことはありえますので、十分に注意が必要です。