日銀は2月10日10年国債金利が一時0.23%を付けたことを受け、0.25%の利回りで無制限に国債を購入するいわゆる指値オペを異例の夕刻に発表し、突然ドル円が上昇する運びとなりました。

この指し値オペとは、日本銀行が市場から無制限に国債を買い入れるというやり方で、2016年9月21日に導入すると発表した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で採り入れられたものです。

指し値オペの発動は2018年7月以来およそ3年7か月振りの発動となります。

とにかく日銀は10年債利回りを0.23%以上に上げさせたくないという姿勢が鮮明で、この指値オペでどれぐらいの売りがでるのか不明ですが、売られれば売られるほど市場に円資金がでまわることになるので、この手のオペレーションが頻繁に登場することになればかなりの円安材料になるのは確実です。

他国の主要中銀がインフレに対応して利上げを計画しているときに本邦だけ相変わらず低金利を維持するやり方が一体いつまで続けられるのかは分かりませんが、ここからは当面円安を考えておくことが必須になってきています。

まさか午後6時過ぎに日銀が指値の買いオペをやりますという報道がでるとは思いもよらず、これがCPIの発表の発射台を妙に高くする結果となってしまったようです。

恐らく115.500円台からのスタートであれば116円をつっかけるかどうかのレベルであったのだろうと思いますが、CPIの結果を受けて116.300円台までやってしまい、その後なんと115.730円レベルまで崩れるという荒い展開となりました。

CPIが大きな数字になっても株価が崩れて飛び跳ねたドル円は下落に転じるであろうとは予測していましたが、ここまで上げ下げが激しくなるのは意外な展開となりました。

その後ブラードアトランタ連銀総裁の発言が報道されて相場はさらに荒れ模様に

セントルイス連銀のブラードが7月までに1%、3月0.5%の利上げを容認といったタカ派の報道が日本時間の午前三時前にでたことで米株はさらに下落、ドル円は一旦115円台を動いていたのがまた116円台に復帰し、市場では臨時のFOMCが開催されて即日利上げもありうるのではないかといった憶測まで飛び出し始め、市場は米国の利上げに怯えることとなってしまいました。

こうなると経済指標の発表よりもその後の要人の発言のほうがかなり大きな影響を及ぼすことになりかねず、3月16日までは延々とこんな状況に耐え忍ぶ必要がでてきているようです。

このブラードは債券業界には非常に影響力のある存在でFRBの業界では政治家の動向を真っ先に取り込む風見鶏として有名ですから、利上げについてタカ派の発言をするというのはかなり注目されています。

ただし、本人は共和党支持者なのでトランプ政権ならさらに要職につくこともあったかもしれませんが、バイデン政権下ではそれほど評価されていないという現状です。

こうなるとパウエルがバイデン政権下でどこまで株価の下落を容認しつつ利上げを行うかが非常に注目されるところですが、一部の市場関係者が憶測するように利上げが織り込み、実際実施されれば株は戻すという安易な発想の通りになるのかはかなり微妙で、とにかく1度利上げしたらその後連続利上げすることも十分に予想されるだけに話はそう簡単ではなさそうです。

市場ではPPTによる株価オペレーションを期待する動きも

FRBのパウエルプットによる株の買い支えがインフレ局面では期待ないということで、市場はいわゆるPPT・プランジプロテクションチームの再結成によるバイデン政権による株の買い支えを期待し始めているという話も聴こえてきます。

このPPTは2018年12月パウエルが利上げを強行しようとして株が暴落した際に、当時の財務長官のムニューシンが大手の証券会社と年金などを集めて結成したチームで、2008年のリーマンマンショックのときにも招集されています。

2018年末の場合は年金が買い向かったのと結局FRB自体が買い向かう形で暴落を阻止していますが、今回はFRBが買い支えるわけにはいかずその他のチームによる編成となる可能性が高まります。

だいたい株価が30%下落したところでPKOがはじまると言われているので、現状で言えばその招集はまだまだということになりそうです。

ということで単月のCPIが7.5%と発表されただけでもこれだけの騒ぎになったのでここから先の相場の動きはさらに激しくなることが容易に予想できる状況となってきました。

市場参加者は総じて先行きに不安をもっておりとんでもない動きがでることも十分に考えられます。

日頃以上に注意深い取引が求められる時間帯です。