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1月6日にワシントンDCの議会の米国上下両院合同会議開催中に市民が大挙して乱入したことから、すっかりそれがトランプにより引き起こされたもので、トランプこそが責任を取るべきであるという論調が既存のマスメディアに強く醸成され、かつてないほどその存在感は希薄なものになりました。

1月20日までは残り1週間ほどで、外から見ている限りトランプがここから何かを起こすことなどほとんど不可能な状況にしか見えないものの、米国内ではさらにトランプを封殺しようとする動きが顕在化しており、それに伴って社会情勢は驚くほど不安定なものになってきています。

果たして1月20日に何事もなくすんなりと新政権がスタートできるのか、また金融市場に影響がでることがないのかどうかがかなり危惧される状況です。

テックジャイアントの言論統制を食らったトランプ

米国のテックジャイアントはトランプと保守系言論人を封殺する動きを見せておりツイッター、フェイスブックなどはアカウントを完全凍結、またグーグルはYouTubeでの関連情報の提供者の締め出しに動いています。

さらに保守系のSNSであるPerlerへのサーバー利用をアマゾンが締め出しグーグル、アップルがアプリのストアでの提供を制限したことから、事実上利用ができないという驚くべき事態も発生しており、国を超えて米系のIT企業大手が言論を統制する時代に突入していることをまざまざと見せつけるような事態に陥っています。

現職の米国大統領がここまで影響力を完全に無力化されることになるのはまず驚きですし、テックジャイアントがこのような形で自らに逆らうものを完全に締め出す状況がすべからく、あからさまになるというのも相当異常なようです。

民主党ペロシ下院議員はトランプ弾劾を下院で決議

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ここへ来てもトランプの追い落としに躍起なのが民主党のペロシ下院議長で、ペンス副大統領や閣僚による合衆国憲法修正25条の発動がなければ弾劾訴追の手続きを進める方針を掲げており、残り一週間の任期であるにも関わらずなんとしてもトランプの解任を実現しようと必死の状況です。

トランプ米大統領の支持者らが連邦議会議事堂に乱入したのは事実で、それがすべてトランプの責任であり罷免すべきなのかという点についてはもう少し冷静な議論が必要と思われるものの、どうもこの議長の執拗なトランプ解任要求行動もいささか常軌を逸した行為に見えて仕方ない状況です。

6日当日、ペロシ議長を襲撃する計画があったとか、すでに議会内で同氏のパソコンが押収されてしまったなどという嘘か本当かまったく判らない話も飛び交いはじめており、新政権スタート直前というのに事態はかなり混沌としはじめていますが、別に何かトランプを解任させなくてはならない裏の事情があるのではないかと勘ぐりたくなる状況で、その真意は依然として謎です。

もっとも心配なのは有権者の不満

こうした状況下でもっとも心配されるのが共和党に投票した有権者の問題で、最末期のトランプ政権に多方面から攻撃が行われ、既に見る影もない状況に陥っていることに我慢ができるのかどうかが非常に気になるところとなっています。

民主党側にも左派の相当な暴力組織が存在しており、市民同士の対立が起きることは十分に想定されるだけに、1月20日に予定通り粛々と新政権が誕生しスタートしていけるのかどうかが大きな注目点になりつつあります。

トランプ政権の4年間が素晴らしいものであり、トランプ自身も群を抜く人格者であるとはまったく思えませんが、今回のような現職大統領の終焉というのはここ数十年の米国の歴史を見てもかつて遭遇したことのない状況で、非常に不穏なものと感じる次第です。

今のところ金融市場では株も為替も大きな影響が出ている訳ではありませんが、ここから1週間は常に警戒すべき時間帯になっていることだけは意識しておくべきでしょう。