Photo Britta Pedersen / POOL / AFP https://lenta.ru/news/2020/12/02/obval/?utm_medium=social&utm_source=twitter

仮想通貨市場で多くの通貨が再度大幅上昇の動きを見せています。

米株市場におけるロビンフッダーのように通貨市場で、個人投資家が市場を席捲し始めていることはどうやら間違いなさそうな状況で、その背後にテスラのイーロンマスクがSNS上でつぶやく内容が非常に大きな影響を与えていることがわかります。

本人はただ自分の思ったことを表明しているだけなのかも知れませんが、見方によっては強力に相場を煽動しているようにも見え、ここから金融市場がこうした動きを看過することができるのかどうかが大きな問題になりそうな状況です。

市場に置ける発言の影響力は絶大なイーロンマスク

1月29日にイーロンマスクがツイッターのプロフィール欄にひとこと#bitcoinと加筆しただけで、目ざとくそれを見つけた投資家たちが我先にとビットコインを買い始め、一旦下落に転じていたその価格は急に再度2割以上上昇するといった思わぬ展開が示現することとなります。

この段階では特別買いを推奨したわけではありませんから、あくまで市場で個人投資家がこれを見つけてイーロンマスクがビットコインの買いを示唆していると推測して多くが買い向かう行動にでたものと思われます。

また、2月1日にはオーディオチャットとして人気が高まりつつあるClubhouseを利用して「8年前にビットコインを買っておくべきだった。現時点でビットコインは良いものだと思うし、僕は支持している」と発言したことがビットコイン上昇の大きな燃料となりました。

ここでもイーロンマスク自身がビットコインを買うべきだったとだけ発言したわけですが、追加の報道ですでにマスクはビットコインを購入しているといった情報も流れたことから、さらにビットコイン買いが加速されることとなります。

対円でのビットコインはすでに400万円台に回復しており、一旦下落してからかなり大きく戻したことがわかります。

Photo CryptoNewsZ https://www.cryptonewsz.com/is-dogecoin-out-of-its-short-term-downward-trend/

イーロンマスクはやはり自らの発言が相当仮想通貨相場に影響を与えることを自覚したうえでこうした発言をしているようで、2月4日にはロケットの上昇画像とともにDOGEとだけツイートしたことから、ドージコインはこれまた暴騰しはじめます。

さらにDogecoin is thePeople’s cryptoとつぶやいたことからさらに相場は上昇し、その煽りから他のアルトコインも上昇するといった奇妙な状況が示現しています。

ドージコインは1月29日に1ドージ=0.007~0.008ドル台だった価格が0.07ドル台まで一時約10倍にまで跳ね上がる始末で、イーロンマスク発言が市場に絶大な影響を誇ることがここでも立証されたことになります。

ゲームストップ株の乱高下では、SNSのレディットの株コミュニティの市場煽動が非常に大きな問題になりつつありますが、ここまでのイーロンマスクの発言を見ますと、彼の言動のほうがレディットよりはるかに相場に影響を与えることとなっており、ややもすれば相場を簡単に引き上げることができる力を持っていることが顕在化しつつあります。

ややもすれば価格つり上げになりかねない状況

今のところ自らの利益獲得のために仮想通貨クラスタに働きかけをしているとは見えないイーロンマスクですが、これがドージコインを大量取得した上でこのような発言をした場合には新手の相場の吊り上げ手法になるわけですから、金融市場も決して看過できない状況が到来することが考えられます。

昨今の金融市場は仮想通貨に限らず多くの個人投資家が大挙して相場に雪崩込んでいることから、プロのファンド勢も大きな損失を被りかねない状況となっていますが、それが行き過ぎてしまうと相場全体が大きな暴落に繋がりかねず、イーロンマスクが相場崩壊に手を貸すようなことにならないことを祈りたいばかりの状況になりつつあります。

直近の市場ではアマゾンのジェフペゾスを抜いてすでに伝説の起業家になりつつあるイーロンマスクではありますが、その発言の影響力は絶大であるだけに軽はずみの言動で仮想通貨のみならず株や為替、債券の相場を狂わすようなことがないように自制を求めたいところです。

それにしても金融市場はなんともおかしな雰囲気になりつつあり、バブル相場の末期的症状を示しつつあります。

個人投資家が動き始めるのは非常に気になるところで、だいたい個人投資家が相場に大挙し席捲する状況になると、バブル相場も終焉となるだけになんとも不穏な状況を醸成しはじめている点が酷く危惧されます。