6月24日ロシア南部のロストフにある軍事施設を民間軍事会社・ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンが占拠し、武装蜂起を呼びかけることとなりました。
あまりにも唐突なこの事件は一気にロシア国内での内戦を引き起こすことになるのではと相当警戒されましたが、その後ワグネル軍は北上、モスクワへの進軍を開始したもののモスクワまで200キロのところで進軍を停止し、プリゴジンは「ロシアの血が流される責任を理解し、隊列の向きを変える」という声明を発表し、今回の武装蜂起の終結を宣言しました。
いきなり内戦状態を示現するように始まり、それにも関らず短時間で終息したこのワグネルの反乱はなぜ起きたのか未だにわからない部分が多く、モスクワへの進軍は停止してもまだその余波は続くことになるのではないかといった見方も広がっています。
驚かされるのは民間軍事会社の傭兵による軍隊がいとも簡単にモスクワまで200キロというところまで進軍したことで、ロシア領内に入ってしまうと意外にモスクワ侵攻も困難なものではないことが浮かび上がります。

どうやらプリゴジンはワグネルとその創始者である自身の立場が危うくなっていると考えたため武装蜂起を起こした可能性が指摘されていますが、ベラルーシのルカシェンコ大統領が直後に即座に仲介に名乗りをあげたようで、プーチンとの電話会談後プリゴジンと協議し進軍をやめ緊張緩和の措置を講じることで合意したと発表しました。
プリゴジンがその後どうなったかは公式的な確認がとれていませんが、同氏はベラルーシに亡命することで一件落着ということになったようです。
最大の問題は西側諸国がこうした反乱の動きを予め画策し加担していなかったかどうかで、米国の関与が顕在化した場合には話は相当大ごとになりそうな状況でもあります。

ワグネルはロシアの民間軍事会社として規模を急拡大


ワグネルという民間軍事会社の名前はウクライナ戦争では時折聞くもので、ウクライナ戦争に深く関わっている存在であることは広く知られています。
みかけ上軍隊そのものに見えるこの組織は2014年に創設されたロシアの民間軍事会社です。
その名称のワグネルはドイツの作曲家ワーグナーにちなんでつけられたとされており、当初はシリアの油田とパイプラインをイスラム国から守る任務についていたことがわかっています。
ワグネルはアサド政権を支援するロシアに代わりシリアの国営石油会社ゼネラル・ペトロリアム・コーポレーションと契約して、油田施設を警備することでその組織を巨大なものにしていったとされています。

ワグネルは当初、元警察官や軍人からなる1,000名程度の組織でしたが、2017年には6,000名に拡大しモスクワに侵攻しようとする映像では傭兵組織というよりは完全な一個師団の軍隊の規模に拡大していることがわかります。
ウクライナ戦争ではロシアの兵隊としてワグネルが大きく機能していたことは明白であり、その傭兵軍団がいきなり反旗を翻すことになったのは相当な驚きをもって金融市場でも迎えられました。

週末の発生と終息で金融市場にはとりあえず影響なしの状況に

今回のワグネルの反乱は土日のうちに発生し終息したことから、週明けの金融市場にはほとんど影響を与えずに済んでいます。
ただ週明けのオセアニアタイムではドル円が多少ドル安円高に振れ、リスクオフの兆候もみられました。

ワシントンポスト紙は24日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者のプリゴジン氏による「反乱」の動きを米情報機関が6月中旬に把握していたと報道しており、米国CIAが早い段階でこの動きを知っていた可能性を示唆しています。
気になるのはCIAが関与していたかどうかですが、早い段階でこの反乱を知っていたのはCIAが主導的役割を担ってワグネルに焚きつけていたという可能性もあり、それが本当にCIAの関与によるものであることが露見した場合、この騒ぎは大きなものに発展する危険性もではじめています。
CIAはゼレンスキー大統領がノルドストリームの爆破計画を立てていた時にも早い段階からそれを知っていたとしていますが、なぜそれを止めなかったのか、あるいは逆に先導していたのではないかという疑惑は払拭できないままの状態です。

今ロシアで内戦が起きて、政治、経済が大混乱に陥った場合、西側の金融市場にも激しい影響がでるのは必至で、一旦収まったかに見えるこの騒ぎがこの先どうなるのかについては随時注視していくことが必要です。