6月の米国月次CPIは市場の事前予測を下回り、市場では7月のFOMCの0.25%の利上げを最後に休止することになるとの見方が非常に高まりを見せています。
日銀の政策変更期待も高まっていることからドル円は非常に大きく下落することとなっていますが、ドルストレート全般にドル安が進む状況です。
ただこのドル安はまたしても米国の国内物価を押しあげてインフレをもたらす可能性があるだけに素直には喜べず、FRBがここからの市場への対応がさらに難しくなったと指摘する向きも増えており、結果としての金融市場は相当難しい展開の中でトレードを進めていくことが強いられそうな時間帯に突入しようとしています。
とくにこの米国のCPI見合い相場だけならまだしも、そこに日銀政策決定会合の思惑も重なってきているので複雑化は免れず、けが人もさらに激増しそうな展開になりつつあります。

米国CPI低下はエネルギー価格の大幅下落が起因

Data Bloomberg

2022年6月、ウクライナ戦争をきっかけにして大幅に上昇した全米平均のガソリン価格は当時瞬間的に初めて1ガロン(約4リットル)5ドルを突破し41.6%上昇し高インフレをけん引したことから、CPIトータルでも前年同月比9.1%という高い水準を記録しました。
しかし足元ではガソリン価格が2023年3月からマイナスに転じ、直近の6月では16.7%も下落したことがこのCPIの低下の最大のポイントとなっています。

ただしその一方でサービス価格のなかで飲食や宿泊など幅広い価格は弱まる兆しがなく、動きはじめたら止めるのが極めて難しいことを示現しはじめています。
それにしても昨年同月から考えればすでにインフレ率は3分の1にまで低下しているため、市場がFRBの利上げ完全停止を期待するのも判らなくはないところに差し掛かっています。

ここからの問題はドルの下落がインフレに与える影響

米国のCPIの低下は株式市場でも大きく好感されているのは紛れもない事実ですが、国内経済のことを考えると通貨安、つまりドル安がここから過度に進行するのは輸入物価全般を押し上げることになるため、米国の金融当局としてもそれを放置しておくわけにはいかない状況になりつつあります。
ただ2024年の大統領選のことを想定するとここから株価が大きく崩れるのも問題ですし、インフレが沈静化しないまま利上げを続ければ経済に与える影響も大きくなるためそれも抑止することが必須の状況で、さらにそんな中でドルが一方的に下げるのもなんとか避けたいという互いに相反するような目標をすべてクリアするのは至難の技であり、米国財務省もFRBもこうした問題をどうクリアしていくのかがかなり難しい時間帯に突入していることが垣間見られます。
とくにドル安が米国内インフレに与える影響は想像以上に大きく、一旦沈静化したエネルギー価格にも再度飛び火することになれば米金融当局が自らドル安を阻止する動きに出る必要もありそうで、為替市場は相当難しい動きに翻弄される可能性がではじめてきています。

日銀の政策変更期待が微妙に絡み合いドル円は相当難しい展開に

そんな中で市場では海外勢を中心にして日銀が7月末の政策決定会合において、なんらかの修正を持ち出してくるのではないかという期待がまたしても高まりを見せています。
YCC実施による副作用については植田総裁もそれを口にしていますが、今のところYCCやマイナス金利など各種金融緩和政策の副作用を全部考慮しても、緩和効果がまだ大きいと日銀が考えているのは事実のようで、先ごろ開催されたECBフォーラムの席上も植田総裁は当分金融政策を変えないことを明言しています。
海外勢を中心とした市場の見立ては利上げよりはむしろYCCの修正が注目されているようで、国内では超長期債を中心にして金利が上昇、それを受けるように円売りの巻き戻しが先週1週間ですさまじく進むこととなりました。
ただ日銀が今月の会合で引き続き緩和継続で何も変更を出さなければ再度巻き戻しの巻き戻しが示現することになり、ドル円は一気に5円近く値を戻す展開も十分に想定できる状況です。

こうした複雑でかつかなり期待だけに基づく相場の動きが顕在化している中にあってはここから2週間あまりのドル円の動きは相当難しそうで、日頃にも増して慎重なトレードを行うことが求められそうです。
こうした相場見通しはプロの市場参加者もかなり口を揃える状況になっているので、方向感が良く判らないと感じた時にはとにかく立ち止まって様子を見るといった用心深さが必要になりそうです。
日常的にドル円をトレードしている個人投資家はそれほどリスクを感じていないようですが、それでも先週のドル円7円下落の相場だけでも本邦個人投資家は相当痛んでしまったようで、もともと状況は相当つらくなっている中でそれがさらに助長される相場展開となるのでリスクも高く、今年一番の危険相場に遭遇することも覚悟せざるを得ない状況です。