https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/fnn/world/fnn-00417209CX

ゴールデンウイーク最終日となる6日の早朝前にあたる深夜1時過ぎに突然市場に駆け巡ったのがトランプ大統領の対中関税制裁10日実施というニュースでした。北朝鮮がミサイル発射実験を週末に実施したことから窓開けは覚悟した週明けでしたが、市場は北のミサイルよりもトランプ発言に激しく反応したようでドル円は110.50円に近いところまで下落する動きとなっています。

米中交渉はうまくいっていたはずではなかったのか

米中両国政府は1日北京での閣僚級協議を終えたことを発表しており、さらに8日からはワシントンに場を移して協議を継続の見通しという報道が流れ、うまくいけば2週間ほどで合意にこぎつけられるかもしれないといった楽観的な見方が市場を支配していたわけですがこの協議ではやはり最大25%の追加関税の扱いが焦点となっており、中国側は合意後すぐに25%追加関税の全廃を望んでいるのに対し米国側はその一部を残したい意向であることがやはり食い違っていたようで、また構造的協議もメディアで報道されているほどうまくは進んでいないという情報もではじめています。トランプの首席補佐官代行のマルバーニは、協議は永遠には続かないとも述べており、このままでいくと一旦米中協議が決裂する可能性も出てきそうな状況となってきました。今回のトランプツイートは10日からの25%関税実施を謳っていますが、上述のように8日はさらに閣僚級会議がワシントンで控えており、これが依然とした脅しなのか実施なのかはもう少し細かい報道が出そろうのを待たない限りはっきりしないのが実情となってきています。ただやると言ったら本当にやるのがトランプの動きですから一旦実施は免れないのかもしれません。

2020年の大統領選に向けて功を焦るトランプ

2020年にはいよいよ大統領選を控えているわけですが、どうもトランプ政権は功を焦り過ぎている感もあり株価連動内閣でなんとしても米株を下げさせないように発言する部分が非常に多くなってきているように見受けられます。しかし結局駆け引きが得意でビジネスマンのトランプはどこかで脅かしを入れてくることが十分に考えられ、今回の対中関税も完全にその手口とみられるだけに中国が折れればいきなり状況が変わることも考えられるところです。
いずれにしても単なる貿易の問題のみならず構造的な問題点の解決を図ろうとするライトハイザーUSTR代表はトランプが考えている以上に深く厳しい姿勢で臨んでおり、しかも1980年代からの実績もあって共和党のみならず民主党からも広範な議員の支持を得ているだけにここからの米中交渉は大統領選挙を睨みつつも延々と続くことも考えておく必要がありそうな状況になってきています。

史上初の10連休、結局のところ最後の最後にもっとも相場に影響がえたのがトランプのツイートというのはかなり意外ですが、米中貿易協議はそう簡単には収束しないことを十分に示唆する動きとなっていることは間違いなさそうです。
この視点で見た場合日米の中小協議もかなり心配で、日本政府はあまりクリティカルな状況にはなっていないような交渉状況を醸成していますが、否応なしにむりやり米国の言うことをきかされる可能性も十分にありそうで、こちらもやはり相当な注意が必要になりそうです。とくに米国はドル安を強く志向しており、実質実効レートベースで1985年のプラザ合意以来もっとも高い円安レベルにあるドル円に影響がでるのは避けられません。こちらについても引き続き状況を注視することが重要になりそうで、どこかで戻り売りの大きなチャンスが訪れることになるのかも知れません。