5月10日に施行された2000億ドル規模の25%関税の実施につづいて、USTR・米通商代表部は13日にさらに3000億ドルの商品に最大25%を課するリストを公表しています。このリストに載ったものへの25%関税の発動は公聴会などのプロセスを経て早くても6月後半となる見込みのようですが、これが現実に実施された場合米国のGDPは今後1%以上の下落となる見込みであり、当然中国はそれ以上の打撃を受けることになることから米株はここからさらにもう一段の下落に見舞われるリスクが高くなってきました。

6月大阪G20 サミット時に米中首脳会談実施

トランプのさらなる対中全面25%関税実施は相場暴落の引き金か
Photo Reuters https://finance.yahoo.com/news/china-threatens-retaliation-after-us-raises-tariffs-on-200-bn-of-chinese-goods-072927831.html

トランプ大統領はG20 の大阪サミットに出席時に習近平国家主席との会談を行う予定をほのめかしていますが、果たしてこのタイミングに会談してなにか前向きな結論が出せるのかどうかはかなり疑問で、結局のところ追加関税も6月末に完全履行されてしまうリスクが非常に高まることになりそうです。

米国によるこの追加関税が実施された場合には中国からやってくるありとあらゆる輸入品のすべてが制裁の対象となることから米国民の個人消費にも少なからぬ影響を与えることになりそうですが、今のところは驚くほど物価に与える影響もないようで、むしろ対中国で毅然とした態度をとるトランプに対する支持率は上昇し続けていることから、これが起因して株価が下落したとしてもやむなしとトランプも腹を括り始めている可能性が高まります。そもそも2020年の大統領選挙まではまだ1年半も時間があるわけですから、株価連動政権といえどもまだ株価の下落に神経質になる時間帯ではないのかもしれません。

トランプはFRBに強く利下げを要求

トランプは中国との貿易戦争激化に伴って中国が経済を下支えするために利下げすることを予測しており、FRBに対しても同様の利下げを行うように要求し始めています。株価の下落はパウエルプットを実施することで乗り切らせようという目論見があるのかも知れませんし、まさかの相場暴落時にはFRBの対応の問題が原因であるとする可能性も見え始めているわけですが、完全雇用が実現しており、しかもこれからトランプ関税で逆に物価の上昇の恐れさえあるタイミングにFRBが本当に利下げを真剣に検討していくことになるのかどうかはかなり難しい問題で、逆にスタグフレーションを示現して場合には利上げさえも視野に入るだけにFRBがここからどう対応するのかにも注目が集まるところです。

さらなる追加関税実施タイミングで相場暴落リスクも

25%関税実施というだけでもNYダウはザラ場で700ドル以上下げる下落に見舞われていますが、6月の米中首脳会談が不調に終わり正式にさらなる追加関税が発動された場合米株相場はかなり大幅な下落に見舞われることが予想されます。

直近では日経平均とNYダウの相関性は0.8を超えるほど高くなっていますので、日本株は上昇はしなくても米株下落の局面ではそれにしっかりついていく動きをすることは間違いなく、6月末からの相場が非常に危惧されるところです。

また中国はもはや米国と同率の高率関税の実施では貿易金額的に対抗し得なくなってきていますので、人民元の大幅引き下げや米債の購入中止、さらに保有国債の売り浴びせなどまさかの報復措置が出た場合には相場は相当な混乱状態に入るリスクもあり、中国の出方も注視したいところです。もちろん人民元安や米国債の売りなどは中国にとっても損失の出ることですからそんなことをするはずはないという見方もありますが、これは経済のステージでの本格的な戦争状態ですから、何が起きるかはわかりません。あまり楽観的な見通しをもっているのはかえって危ない状況です。とにかく米中の足元の関係は第二次世界大戦前の関税の掛け合いのような雰囲気になってきており、非常にここからの動向が心配されます。