米国大統領選挙まであと一か月を切り混戦模様は変わらず、郵便投票の影響もあって簡単に勝者が決定せず、決着がつくまで相場はかなり荒れる可能性を指摘する市場関係者が多くなっています。

米国メディアでは一貫してバイデン有利が報道される状況

Data AFPBB

気になるのはトランプ、バイデン両候補の支持率推移ですが、米国のメディア系の調査結果では一貫してバイデンが強さを誇っており、一回目のディベート後はさらにその差が広がる始末で、トランプの一連の新型ウイルス感染とその短期間での復帰を経ても支持率に大きな変化はなく、同情票を期待することはできないという報道が目立ち始めています。

上のAFPBBが掲示している最新の支持率データでもその状況は顕著で、すでにトランプには勝ち目がないかのように見えます。

ただ、米系の大手メディアは完全に軍産複合体に組み込まれており、しかも当初からトランプ嫌悪という立ち位置からスタートしているだけに、これが本当に投票者の深層心理を表しているかどうかは疑わしい状況です。

実際4年前のヒラリークリントンとの一騎打ちの際も10月の事前支持率はヒラリーが8割近くをとっていると報道されており、ほとんどトランプには当選の目がないとされていたにも拘わらず結果はご存じの通りで、残念ながら米国における事前支持率というのはほとんど信ぴょう性がないのが現実となりつつあります。

バイデンの政策にカッティングエッジは見当たらない

米国大統領選挙戦はすでに副大統領のテレビ討論会もクリアしていますが、正直なところ人柄がトランプよりよさそうということ以外の点ではバイデンが大きく現職を上回るような政策を出しているとも思えません。

新型コロナに対して大きな経済対策を打ってくるであろうといった期待はあるのかもしれませんが、オバマが登場したときのような圧倒的な政策や国を運営していくときのモチベーションのカッティングエッジといったものはまったく感じられず、何が支持率を高めているのかが非常に不思議な状況となっています。

現実は元から民主党を支持している人間はバイデンをひたすら支持しているものの、トランプ支持者のほうもひたすら支持している可能性は高く、政策面から支持者が変化しているのかどうかは今一つよくわからないというのが正直なところのようです。

トランプ支持者は前回同様表立って支持を表明しない層が結構いるようで、これが表面的な支持率に反映されていないという見方も強く

今更候補者に万一のことがあっても制度的には止められない

問題になりつつあるのはトランプの新型コロナ罹患で、万が一現状のオフィシャルな候補者になにかあった時に果たして大統領選挙がどうなるのかという問題です。

まず、選挙日に関しては投票日が11月第1月曜日の翌日の火曜日と法律で定められていることから、これを無闇に移動させることは物理的に不可能になっています。

選挙を延期するためには共和党支配の上院と民主党支配の下院が合意しなくてはなりませんから、タイミングでは事実上不可能でそのまま実施せざるを得ないというのが大方の見方になります。

次に考えられるのが候補者の交代ということになりますが、両党ともに規則上は代替え候補者を選定することが党の規定になっているものの、どちらの党も全国委員会や代議員招集による選定しなおしが必要となるため、こちらも今のタイミングでは物理的に不可能な状況です。

さらにこれからの立候補というのも難しく、一か月を切った今の段階では止めることはできないというのが正直な状況のようです。

これで候補者が亡くなるような不測の事態になれば超党派でなにか動きが出る可能性もありますが、こればかりは実際に起きてみないとどうなるのかははっきりしない状況です。

こうなるととにかく11月3日の選挙は粛々と実施することしか選択肢はないですが、今回郵便投票を実施したことで結果の判明に相当な時間がかかることは間違いなさそうで、大統領が決まらないということがもっとも相場には影響を与えることになるのは間違いない状況です。

とにかく異例続きの今回の大統領選挙ですが、異例な事態が相場に与える影響も大きそうで事前、事後を含めてまだこれから相場が上下動する危険性を十分に意識しておく必要がありそうです。

オクトーバーサプライズはすでにトランプのコロナ感染で第一弾がでていますが、のこされた期間にさらに想定外の事態が示現する可能性にも注意するべき状況です。