3月22日、ロシアのモスクワ郊外にあるコンサートホールで、武装集団による銃撃、その後火災が発生し、多数の死傷者が出る事態となりました。

事件の後、イスラム国(ISIS)が犯行声明を公開し、11人の容疑者が現在ロシアに拘束されています。

その一方で、容疑者たちが犯行後ウクライナに向かったことや、ウクライナ国境に窓口が用意されていた事などから、事件当初からウクライナが事件に関与した疑いが持たれています。

大統領選挙に圧勝してご満悦だったプーチン大統領も、今回の事件は寝耳に水ですが、背後にウクライナ側の協力があったとの見方を強めており、地政学リスクは高まりつつあります。

米国大使館がテロ事件を事前に把握していた可能性も

この事件の裏で、米国大使館がこのテロ攻撃を予言していたことが話題となっています。

3月初旬、米国大使館はモスクワのコンサート会場を含む大規模な集会会場がテロの標的となる可能性があることをSNSで発表し、ロシア在住の米国民に警戒を呼びかけるとともに、ロシア当局にも同様の情報を提供しました。

また、米国国務省の次官補を辞任したビクトリア・ヌーランド氏も、先ごろ同様の発言を行っていたことがわかっています。

今回のテロ事件は、裏で誰が糸を引いているのかに注目が集まっていますが、その正体は米国なのではないかという疑いが高まりつつある状況です。

過去にはISISの創設に米国が関与しているとの発言も

振り返ってみると、米国の元大統領たちはこれまで極めて興味深い発言を行っていることがわかります。

オバマ元大統領は、現役大統領時代に公の場で、自分たちがトレーニングして作り上げた組織があることを仄めかしており、ヒラリー・クリントン氏もアルカイダが米政府によって作り出されたという趣旨の発言を行っています。

 

Photo WhiteHouse official video

 

一方でトランプ前大統領も公の場で、イスラム国はオバマ氏が創設した組織であるとの発言を行っているため、今回のテロ事件がイスラム国の犯行となれば、背後に米国の存在があると疑いをかけられても致し方ない状況と言えます。

ロシアがこの状況に全く気がついていないはずはないため、今後プーチン大統領はどの国を真の首謀者と定義するのかが気になるところです。

 

Photo CNN

地政学リスクを織り込まない金融市場への警戒感

足元の米株市場とそれに追随するかのように上昇を続ける日本株市場は、地政学リスクを織り込んでおらず、「遠くの戦争は買い」とばかりに生ぬるい見立てを続けている状況です。

2020年にロシアがウクライナ侵攻を開始した際は、世界中の国々がロシアの行為を批判する反応を示しましたが、その後BRICSプラスは拡大し、現状ではこれに加盟する殆どの国々がロシアとの関係強化を強めています。

また今年1月にスイスで開催されたダボス会議では、ウクライナ戦争をどう終結するかについて議論が交わされており、ウクライナに対する世界の見え方は大きく変化していることがわかります。

そこへ、今回のテロに対する報復攻撃の話題が加われば、米露の対立は米国対第三世界という構図に拡大するため、地政学リスクは想像以上に高まる可能性があります。

ロシア次第では資源輸出に大きなダメージが及ぶ可能性も

ウクライナ侵攻にともない、欧州に向けた天然ガスなどの資源供給は停止され、各国へのダメージは相当なものでした。

今後ロシアが何らかの報復攻撃に出た場合、エネルギー価格への更なる悪影響が懸念されるほか、ロシアからの輸入に依存している食料資源の価格や流通にもダメージが及ぶと考えられます。

今のところプーチン大統領は、報復措置について具体的な説明は行っていませんが、万が一、米露が何らかの形で直接対立するようなことがあれば、株価は崩れドルの動きも変調をきたす可能性が高まります。

株式市場は平和であってこそ配当が供給される市場であるため、今後のロシアの動向には十分な注意が必要です。

今回のテロ事件について、国内ではその背景やその後のロシアの動きなどは、水原一平氏の賭博問題にかき消され、あまり報道されていない状況です。

我々個人投資家としては、海外の報道にも目を向け、できる限り多くの情報を収集したうえでトレード判断を行うことが重要になりそうです。