2024年も第一四半期が終わり、今週からは4月相場に突入します。

4月は日本やイギリスでは新年度にあたるため、取引においても心機一転、良いスタートダッシュを切りたいところです。

ただ、4月初旬の相場は、心機一転と言えるような新たな変化はなさそうな状況です。

日本の企業は、毎年この時期に年間の投資計画を練り始めますが、その方針が決定されるのは4月後半から5月の連休明けになることが多く、それまで大きな投資行動には出ないことがほとんどです。

投資の方向性を決める機関投資家が市場に現れないとなれば、買われた相場は売り戻されやすく、その逆もまた然りということを意識しておく必要があります。

実需の面から見ると、ドル円はドル不足を意識し定常的に買いに向かいやすくなる傾向があり、2022年以降4月のドル相場は2022年以降上昇しています。

そうなると、4月の相場は心機一転とはならず、3月までの動きの延長と意識しておく必要がありそうです。

財務省による介入警戒もドル円は引き続き上昇継続か

ここ2年あまり、4月のドル円は順調に上昇軌道に乗ることが多くなっています。

ただ今年の相場は、ドル円がすでに152円間近という年初来高値の水準で4月を迎えている点が例年とは異なり、テクニカル的にはまだ上昇の可能性があっても、財務省がそれを黙認するかどうかが気になる所です。

岸田首相もインフレ対策を公言し始めており、ここからのドル円上昇はエネルギーの輸入コストへ直に反映されるだけに、このまま放置しておくとは考えにくい状況です。

財務省は日銀が利上げを実施したにもかかわらず、円安を抑制できなかったことに強い不満を持っていることは明らかです。

神田財務官は、円安方向に動く相場に強い違和感をもっているとの発言を行い、財務省は152円に迫る現状を34年ぶりの円安と報じるメディアに対しても、神経質になっていることが窺えます。

財務省、日銀、金融庁の3者会合も前倒しで開催されており、鈴木財務相は「断固」という言葉を使い牽制発言を行っていることから、152円を突破っした場合、大きな変動がなくても水準感から介入に踏み切る可能性が高まりつつあります。

 

Photo 朝日新聞

 

152円には相当数のノックアウトオプションが設定されていると見られるため、これを突破すれば簡単に152.200円レベルまで上昇することが予想されます。

そこからさらに上昇し152.500円を超えたとなれば、介入の警戒がさらに高まりそうです。

先週の相場では、ドル円のマザーマーケットである東京タイムに財務省による牽制発言が出たとたんドル売りが出ているため、介入の実施は非常に難しい状況であることが分かります。

したがって、来週152円を突破するとすれば、米国の経済指標の発表がきっかけになる可能性が高く、週末の米国雇用統計は152円超えの絶好のチャンスと言えます。

ただ、金曜日のニューヨークタイムでドル円が上昇し介入の警戒レベルが高まった場合、介入は翌週8日の早朝オセアニアタイムに持ち越されることが考えられます。

しかしこれは、あくまでも152円を超え上伸していった場合を前提としているため、上昇しなければ152円越えのチャンスは翌週以降となりそうです。

 

ドル円のトレード戦略としては、下値で買いを入れ上昇が止まれば利確して再度ポジションを設定しなおすことを繰り返すことが基本となり、152円を超えたら今度は戻り売りに徹したほうがよさそうです。

ただ、ドル円はショートポジションを持つと、それなりのスワップコストの支払いも発生するため、長期的に保有することは持つことはおすすめできません。

151円台後半での戻り売りをすれば、確実に踏み上げする可能性もあるため、売りのタイミングは慎重に見極める必要がありそうです。

 

3月のドル円の推移 後半は150円台で膠着状態

 

日柄的な視点で見ると、ドル円もそろそろ自律的に下落する可能性が考えられますが、実需のドル買い意欲は依然旺盛であるため、すぐに大崩れするとは考えにくい状況です。

そのため、何かの指標発表のタイミングで下落すれば、買い場と見てロングポジションを保有することが決め手となりそうです。

ドル次第のユーロドルは自律性皆無

3月のユーロドルの推移

 

ドル次第となるユーロドルは、3月8日に記録した1.0982をトップに反落に転じ、月末にかけては約1か月半ぶりとなる安値圏へと急落することとなりました。

本来、四半期末のリバランスではドルが売られやすい傾向がありますが、今年はそのような動きがないままイースター休暇に突入し、若干拍子抜けの展開となっています。

週明けの相場は、ECBによる利下げ開始時期の前倒し観測が強まれば、欧州債利回り低下でユーロ売りが加速しそうです。

直近では、FRBの利下げ観測もどんどん後ずれしているため、ユーロはドルに対しさらに売られる可能性が高まっています。

ユーロ主体のクロス円も同様に、対円では強く見えても結局は下落することも考えられます。

年度初めとなる今週は、3月と大きく変わらない相場のセンチメントが続きそうです。