4月第三週の為替相場は、予想に反した動きを見せる一週間となりました。

ドル円相場では、152円を超えた時点で確実に為替介入が実施されるものと見られていましたが、岸田首相が訪米から帰国し、G7財務相会議が実施される中、実弾介入は行われないまま、週の取引きを終えています。

2020年の10月には、スムーズな単独為替介入が実施されましたが、今回は国際社会からの容認を全く得られていない状況にあることが窺えます。

G7財務相会議では、日本の為替介入はあくまでもスムージングを目的としており、円安水準を引き下げるために行うのではないということを、改めて認識する形となり、介入の実施を益々難しいものとすることとなりました。

これにより、介入による戻り売りを期待した個人投資家は、損切りを余儀なくされ、この先もドル高相場は継続するものと思われます。

ドル円は月末に向けて160円も視野に

Data Tradingview 1か月のドル円の動き 

 

足元では、155円に巨大なノータッチオプションが存在しているため、これを保有する投機筋の防戦売りが激しさを極める状況です。

この手のオプションは、時間が経てば必ず破られるのが相場の常となっているため、週明けにも突破されるものと思われます。

スムージングという視点でいえば、155円を超えたと言っても、短期間に1、2円ほど上昇しなければ介入は許されないため、このまま大きな材料がなければ、月末に向けて160円に到達する可能性もあります。

日韓協調介入という手段も考えられますが、国際社会におけるウォンの実効性を考慮すると、話題にはなるものの、大幅な為替介入が実現するとは考えにくい状況です。

また、日本の財務省関係者による口先介入の効果は激減しているため、下落を試すよりも上値がさらに上昇する可能性を意識すべき状況が続いています。

ドル高メリットを享受するならユーロドルがおすすめ

ドル円にはまだ、まさかのタイミングで介入が実施される可能性も残されているため、ドル買いを進めるには、それなりのリスクが付きまといます。

ユーロドルであれば、介入のリスクを完全に払拭できるため、今週は敢えてユーロドルでトレードに臨むというのも、一つの戦略となりそうです。

ユーロドルは先週前半に、昨年11月以来の安値となる1.06002をつけ、ドル高ユーロ安状態が続いています。

ECBが利下げを示唆して以降、ドルとユーロは各国中央銀行の政策差が明確に示現する状態となっており、ユーロドルはここから1.0500を下抜ける可能性も高まっています。

ユーロドルは、不意打ちの介入に影響を受ける心配もないため、現在最も安全にトレードできる通貨ペアと言うことができます。

 

Date Tradingview 過去1か月のユーロドルの動き 

相場はイランとイスラエルの情勢次第か

イランとイスラエルの報復合戦については、すでにこのコラムでもご紹介していますが、19日の東京タイムには、イスラエルがイランに対し報復攻撃を行ったとの報道が出たことにより、日経平均は1300円近くも暴落し、ドル円は一瞬にして1円以上値を下げる展開となりました。

その後、報復攻撃とみられた爆撃音は、イランがイスラエルのドローンを撃墜したことによるものと訂正する情報が流れたことにより、ニューヨークタイムまでに全値戻しとなりましたが、日本株はそのまま沈む結果となりました。

また、ニューヨークタイムでは、半導体関連の株が急落したことを受け、週明けは更に値を下げる展開も予想されます。

AI実装のアルゴリズムは、テキスト情報を素早く読み込み相場に反映しており、誤情報であると判明した後も激しい変動は続くため、適切にストップロスを入れるなどの対応が必要となります。

イスラエル情勢に何らかの変化があれば、ドル円はリスクオフから円高に振れる可能性が高くなります。

しかしその後、原油価格が高騰し、エネルギーインフレが急速に進行すれば、初動とは全く真逆の展開となり、米債金利は上昇し、FRBの利下げはさらに遠のくことから、ドルは円上昇に転じる可能性が高くなります。

このまま中東戦争へと発展した場合、リスクを100%回避することは不可能ですが、どのように対応すべきかについては、考えておく必要がありそうです。

 

ドル円は152円を超えるまでは膠着相場が続いていましたが、その動きは月の後半に入り更に顕著に現れています。

突然、相場が急変することも意識しつつ、緊張感を持ちながらトレードに臨みたいところです。