いよいよ年末も押し迫ってまいりましたが、今回は海外FXで利益が出た際の税金対策をご紹介させていただきます。
海外FXで利益が出た場合もしっかりと確定申告を行う必要がありますが、国内FXは所得ごとに分離して課税される申告分離課税が適用されるのに対し、海外FXでは複数の所得をまとめて算出する総合課税が適用されます。
海外FXは累進課税方式を採用しているため所得が多いほど税率が高くなりますが、年末のこの時期にちょっとした工夫を行うことで、合法的に税金の支払いを先延ばしにすることができます。
海外FXと国内FXにおける課税方法の違い
海外FXで利益をあげ納税された経験をお持ちの方はすでにご存知だとは思いますが、海外FXでは総合課税が適用されるため他の所得と合算し5%~45%の税金が課せられます。
一方の国内FXは、申告分離課税が適用となり税率は一律で20.315%となるため、仮に同じ額の利益が発生しても国内FXと海外FXで課せられる税金は異なります。
また、国内FXは3年間の損失繰越が認められているのに対し、海外FXでは繰り越すことができません。
ただし、海外FXは同じ税区分同士に限り損益通算ができるという点は頭に入れておきましょう。
課税対象となる一年間の利確合計額は年末に調整可能
課税について知っておくべきポイントは、課税対象が年間に利益確定を行った金額の合計になるということです。
例えば年末に200万の含み益が出ているポジションがあったとします。
このポジションの決済を翌年1月に行えばその分は今年の利益には計上されず、利確を合法的に先延ばししたことになります。
ただし、含み益はあくまでも現状で決済を行った場合の利益であるため、この先相場が急反転してしまえば来年1月には利益はなくなってしまう可能性もあります。
海外FXの損益通算を利用し利益を調整する方法
先程の利確の先延ばしに加え損益通算を利用することにより、利益を調整することもできます。
課税額は一年間の利確金額によって決定しますが、同じ雑所得に区分される所得であれば利益と損失を相殺すること(損益通算)ができます。
例えば、12月の段階で海外FXによる1000万の利益が出ていた場合、この利益を500万円に減らすポジションを保有するとともに、それと同額のポジションを両建てで保有するとします。
年内に500万円分の損失を決済し、500万円分の利益を翌年に先延ばしすることで、課税対象となる今年分の所得額を減らすことができるという訳です。
意図的に負けトレードを行い損失を作り出すというのは意外と難しいものですが、理論上反対売買のポジションは確実に利益が出るため、損失が作り出せれば利益も同時に作り出すことができることになります。
ビットコインなどの仮想通貨は比較的損失が出やすいため、FX以外の商品で損失を作り先延ばしするのも一つの方法になります。
ただし、同じ業者のみならず他業者間での両建ても規約違反とする業者もあるため、この方法を行うには十分な注意が必要です。
また翌年に繰り延べできる金額には制限が出る場合もある点は意識しておきたいところです。
両建てによる利確の先延ばしにはリスクもあり
ただし前述した手法は課税対象となるものを翌年に先延ばししているだけで、節税でもなければ脱税でもないということは知っておかなくてはなりません。
損失と利益を同時にコントロールできない以上、両建てであっても片方の損失を決済するということは単なる損切りでしかないため、確定した損失はまた一から稼がなくてはならないということはしっかり理解しておく必要があります。
また先延ばししたもう一方のポジションも、年明けに利益として確保できるとは限りません。
年内の早いうちに損切りだけを行うと、思い通りの利益が出せず大失敗となる場合もありますので、ベストなタイミングを見極めることが大切になります。
現在含み益のあるポジションを、来年早々まで持ち越し利確する方法は、極めて合法的な税金対策です。
今年利益調整を行うかどうかは、今年一年の給与所得などと合算した課税対象となる所得税を確認してから検討してみると良いでしょう。
ちなみに扶養家族の人数などにもよりますが、FX専業で年間獲得額が970万円以下の場合は、国内FXの分離課税率とほとんど相違ありません。
さらに年間470万円以下であれば、国内FXよりも支払う税金が少なくなります。
クリスマスで相場が動かないこの時期こそ一度ゆっくり考えてみてはいかがでしょうか。