Photo Reuters https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/12/post-13531.php

12月に入ってから米中の通商協議をめぐる関係者の発言や報道、日替わりの上げたり下げたりの相場が継続中で、結局のところどのように決着するのかはまったくわからなくなりつつあります。

実質的にはあと一週間ほどで関税引き上げの期日になってしまいますから、中国はこれが実施の運びとなった場合、どのような対応をしてくることになるのかが非常に注目されるところです。

ここへ来てトランプ大統領は順調に交渉が進んでいるとはしながらも、来年の大統領選明けまで合意締結は待ったほうがいいといった微妙な発言を繰り出しており、本当のところどのような決着がつくのかがよくわからない状況です。

市場は依然として楽観的な決着を期待して株も為替も買い上げる動きを見せてはいますが、現時点では誰にも確証が持てないことから今一つ大きな動きにはなっていない状態です。

第一フェーズ交渉破綻ならまずは相場は売られる展開に

この合意決着か破綻かの結果が、いつ明確に実現するのかも今のところよくわからないわけです。

とにかく結果がつかなかったとなれば、株も為替もそれなりの売りがでることから下落は避けられないはずです。

現実的には、より中国の経済に大きな影響を与えることになるため、中国株の売りが激しくなりアジア圏全般にその動きが広がることが懸念されます。

米国はすでに、香港ならびにウイグルに対する人権法案を議会で可決しており、トランプ大統領は香港の法案にはすでにサインをしており、こちらを含めて中国の報復的な措置にどのようなものが飛び出してくるのかが注目されます。

内容次第ではアルゴリズムが過剰に反応して、必要以上に相場が売られる可能性もあり、週をまたいだポジションの保有などはできる限り避けることが望まれます。

まったく想定外の中国の動きが実現することにも要注意

ロシア、北朝鮮などとの連携により経済的な政策以外の領域で、対米制裁措置を繰り出してくるリスクも高まりそうです。

中国にそそのかされた北朝鮮が、軍事的な動きにでるといったことも全くあり得ない話ではなくなっており、日本としては北朝鮮の動きから目が離せない状況になりそうです。

さすがに中国もあまり大人げない対応をいきなりしかけてくるとは思いにくい状況ですが、ここまで時間をかけてきた米中間の交渉が結局第一フェーズですら合意に至らないということになれば、これまでにない制裁を発動してくることも考えられますし、米国債を積極的に売り浴びせるといった思いもよらない策を持ち出してくることは十分にありそうです。

来年1月には台湾の総統選挙を控えていることから、東アジアでの中国の動きが激化した場合には経済レベルではなく、地政学的なリスクレベルでの米中の応酬がではじめることも考えられるだけに、ここからの動きは軽視できないものがあります。

トランプ政権としては無闇に中国政府と対峙するようなことは行わないと思われますが、2020年は大統領選挙年であり、しかもオバマやヒラリークリントンのように妙な親中派的な決着をつけた場合には、民主党との差別化が図られないという政治的な問題もあり、想像以上に厳しく中国に接することになる危険性も否定はできません。

年末相場はすでに楽観的の中にありますが、そのセンチメントを大きく覆る動きが実現しないことを祈りたいところです。

米中の実態は、その位リスクの高いところにあると認識しておくべきでしょう。