米株市場では、一旦ゲームストップを巡るヘッジファンドと個人投資家の仕手戦状態が解消していますが、実は中堅のヘッジファンド勢はこの戦いを巡ってさらに損失を出している可能性が高まり話題となっています。
最初の踏み上げの損失をカバーするためまた売って損失拡大
今回ゲームストップ株を空売りして踏みあげられた中堅の米系ヘッジファンドの損害額は、ほぼ日本円にして2兆円とされています。
彼らは踏み上げられて買戻しを余儀なくされた段階で、自分たちの買戻しが終わればまた株価が下落すると見込んだことから、どうやら戻りでまたしてもETFの売りやプットオプションを仕込んだようです。
しかし、ビッグテック株などの決算が非常に堅調であったことから、さらに株価は上昇し再度プットを投げて売りのETFも買い戻す羽目になったようで、結果的に損失は2兆円をはるかに超える損失になるという二重の失敗に見舞われてしまったようです。
買い上げたロビンフッダーも結局大きな下落で損失を食らう羽目に
一方、ヘッジファンドを破綻の危機にまで追い込んだロビンフッダーをはじめとする個人投資家のほうですが、1月中盤の1株17ドル程度で買った向きはまだ利益を確保できているようです。
しかし、仕手戦の途上で無理やり参入した向きは瞬間485ドル程度まで上がったもののその後暴落を喫することとなり、上下動を繰り返しながらも49ドル強のレベルにまで下げていますから、上昇過程で参戦した人達はことごとく損失を食らうこととなってしまいました。
とくに暴騰から暴落までの2日間ではロビンフッド経由の個人投資家だけで軽く20億円以上の損失が出ているとのことで、追証を含めて窮地にたたされた向きは想像以上に多く、仕手戦に参加したファンドも個人も殆どがロクでもない結果に甘んじることとなったことがよく理解できます。
レディットの株価コミュニティでの書込みに煽動された参加者は、さぞや今頃になって後悔しているものと思われますが、後の祭りでどうすることもできません。
1月末のドル高傾向はファンドのドル買いが大きな理由という見方も
この間、ドルはドル円をはじめとしていきなり上昇をはじめ雇用統計のあたりをピークにするような動きが見られましたが、どうやらこちらもこのヘッジファンド勢が踏み上げを食らってありったけの持ちダマを換金し、ドル買いして追証の手当に向かったことが大きな理由のようで、損失補填が済んだ段階でドル高は一息つくという動きになっています。
ファンドが年末から持っていたドル円の円買いポジションを大きくまき戻したからドル高になったという話は市場でもかなり出回っていましたが、まさかそれにゲームストップの件が深く絡んでいたとは驚きです。
このように相場の突然の変化というのはあとにならないとその正確な理由が判らないもので、一連のゲームストップの株価仕手騒動は相当市場に大きな影響をあたえていたことが今更理解できる状況です。
個人投資家のこのような奇異な行動は、ビットコインをはじめとする仮想通貨にも広がっていますから、まだこの先驚くような相場展開が示現する危険性は十分にありそうです。
それにしても個人投資家が大挙して相場に参入するというのはきまってバブル最後の段階でよく見られることですが、こうなると新型コロナ起因の中央銀行バブルも最終段階に入ってきている可能性がありそうで、より一層相場を注意深く見守ることが重要になりそうな時間帯のようです。