6月FOMCで今後の利下げが確定的になったとみた米株相場はまたしても利下げ期待という材料だけでS&P500が年初来高値を更新しNYダウももはや時間の問題というなんとも驚きの展開を継続中です。一説にはさらにメルトアップでG20を通過後7月にかけて爆謄するのではないかという見方もあり、完全に市場は中央銀行バブル再来の感があります。
しかしその状況とは裏腹に、日経平均は全く米株に追随して上昇しようとはせず、日々の売買高も細る一方でまったく精細を欠いた状況が続いています。当然ドル円は株価につられて上昇するなどということは期待できず下落トレンドを続けているのが実情です。なぜこうした日米の株価の違いがでてしまうのでしょうか。
米株は依然として自社株買いが支える状況
米株市場では一部のファンド勢が上げるところまでとにかくついていくという形でこの上げ相場に乗っている状況が見られますし、議会で大きな問題にならないうちにとにかく今年自社株買いを完結してしまおうとする米系企業の買いが高くても相場の上値を追う形となっているのは間違いないようですが、参議院選挙を控えて株価をなんとか押し上げておきたいはずの日経平均の方は暴落する気配はないものの米株に追随するような動きは一切なく、驚くほどの閑散相場そのものが延々と続いています。
市場では米欧の中銀が積極的に緩和の意思を表明している中で黒田日銀が緩和を明確に口にしないから株価は伸び悩んでいるという指摘があります。しかし本当にそれだけで株価が低迷しているのかどうかはかなり怪しい状況になってきています。
日銀の買い支え人工相場の限界がやってきている可能性
国内株は割安だという話を本邦の株式関係者とそのお抱えアナリストはPERとPBRで延々と説明し続けるわけですが、割安と言われて久しい日経平均がこれだけ上昇しないとなればもはやその見方が機能しないのは明白であり、なぜ上昇しないのかについてもっと真剣に現実を見据える必要がでてきいることを強く感じさせられます。
まず海外のファンド勢が非常に嫌がり始めているのは官製相場の度合いの酷さについてです。米国でも株式市場にはPPTが登場して無理やり相場を持ち上げる作業をしていますし、海の向こうの上海総合指数でも中国政府が明らかにPKOを入れて株価を持ち上げる人工的な努力を行っているようです。しかし日本株については海外勢は一部を除いてはもはやそれに乗ってこない状況が常態化しつつあるわけです。
ひとつの大きな原因としては、この官製相場が行きすぎの状況であり、いつ日銀がギブアップするかわからない状況にまで来ていることがあげられます。2015年1月のスイス国立銀行(中銀)の為替介入ギブアップもそうでしたが絶対にやるといっても中央銀行には限界があり、いつ裏切られるかわからないというファンド勢の疑心暗鬼が強く働いていることがあげられます。
また主力株はほとんど昭和、平成から顔ぶれが同じで国内経済を大きくけん引していく新しい産業や銘柄がほとんど見当たらないということも米株とのかなり大きな差になりつつあるようです。
さらに国内でさえもどうも信用ならないと感じる国の統計についてもっとも違和感を感じているのは海外の投機筋という見方も広がっています。戦後最長の景気拡大と言われてもどうも経済状況はちっともよろしくないし、実質賃金も上げの改ざんをしてみたら、今度は年金の問題で下げざるを得なくなっているわけで、景気はよくないのに増税だけはスケジュール通りに実行となれば、海外のファンド勢が無理して日本株に投資する気が起きないのは当たり前で、CTAのような短期筋のファンドが一定の売買を繰り返す以外は長期の投資家が全くやってこなくなってしまったというのもうなずける状況です。
とにかく参議院選挙まではなんとかPKOで株価を持たせることになるのでしょうが、それ以降はどうなるかわからないというのが日本株の状況で、下落の時だけは妙にシンクロして下げについていくドル円もこの夏は相当な取引が求められることになりそうです。