いよいよ今年は米国の大統領選挙年になりますが、民主党の方はやたらと候補者が多く分断されてしまっていることに加え、最有力と言われてバイデン候補も息子の問題でトランプの弾劾と並行して、自らにもブーメランのように問題が表面化し始めています。
このままでいけば、株高と好景気を背景としてトランプが続投するのではないかという見方が非常に強まりつつあります。
1986年から2016年までの毎年のNYダウの推移と選挙年に限ったダウの動きを比較したのが上のチャートになります。
選挙年は全般的に年の前半は比較的低調で、その後夏過ぎから盛り上がり、選挙での勝利者確定で年末まで大きく値を上げるというのが一つのパターンになっていることがわかります。
ただ年間を通じて、非選挙年に比べると大きく相場が動かないのも特徴であり、直近では史上最高値を更新してきているNYダウがこのサイクルに沿った動きをするのか、このまま上昇を維持するのかにも大きな関心が集まるところです。
米国ウォール街はトランプ再選を確信し始めている
ウォール街のアナリストは好景気を背景にし、トランプが継続して残り4年大統領を続けることになるため、今年後半に向けて相場が一気に上昇を加速させるのではないかと見ている向きが多くなってきています。
逆にいえばなんらかの理由で、トランプが再選されないということが起きた場合、或いは劣勢に立たされていることが表面化した場合には、相場が激しく売られて下落するリスクを生じると見ているようです。
ただ、年初3日に突然降って沸いたトランプの承認によるイランの革命軍将軍のドローンによる暗殺は、既に現段階でも国際法に抵触しているのではないかといった疑問の声が上がっています。
何らかの報復措置によって、2001年の9.11のような悲惨なテロが米国内で勃発した場合、トランプの責任が問われる可能性も十分にありそうで、トランプ絶対優位とは言い切れない危うい側面も見え始めてきています。
選挙は水ものですし、何がトランプの足を引っ張ることになるのかはまだ全くわかりませんから、安心しきるのは非常に危険になってきていることがわかります。
イランと米国、さらに周辺国を巻き込んだ戦争の勃発は想定外の事態
もともとトランプは戦争嫌いであり、軍産複合体とも一線を隔する存在と言われてきただけに、今回のソレイマニ将軍のドローンを使った暗殺をあっさり許可してしまい、実施にこぎつけたのはかなり驚きの事態です。
イラン側は完全に戦争状態に突入したという認識を高めていますし、主権を侵害されてイランの将軍の自国で殺害されたイラクも相当米国に反発している状況で、さらに戦争をしたくて仕方ないイスラエルが先んじて、イランと戦闘を開始するようなことになれば、中東地域全体を巻き込んだ地域戦争に発展しかねない状況で、確かにトランプが大統領選安泰とは言い切れない雰囲気が作られはじめています。
こうなるとまずは、イランがどのような報復行動に出てくるのかが気になりますが、地上戦にならず、しかもイラクなど周辺国が妙な形で参戦しないで済むようであれば、沈静化までそれほど時間がかからない可能性もあり、まさにここからの展開次第になってきていると言える状況です。
過去の戦争時の為替の状況は90年代の湾岸戦争ですと、あまりにも昔の話であることから参考になりませんが、2001年のWTCのテロ事件のときにはドル円は121円中盤からいきなり2円下落し、その後116.600円レベルまで円高方向にリスクオフの動きをし、その後は反転上昇に転じています。
米国内でのテロが発生した場合には、容赦なく5円程度の一時的下押しも想定しておかなくてはなりません。
ただ、実需のドル買いは非常に強くなっていますから、戦争が最悪の事態へと進行しない限りは元に戻る時間も早そうで、突っ込み売りにも注意が必要になりそうです。
いずれにしても年初からまたしても想定外の事案が1月に勃発しており、ここからの動きは断定せずに様々な可能性を考えてトレードする必要がでてきています。
トランプの大統領選再選もしかりで、まさかの場合に相場がどうなるのかについても常に意識していく必要がある1年になりそうです。