中国起因の新型肺炎は急激に発症者が増え、WHOも非常事態宣言を発令することとなりました。
今のところ2003年のSARSに比べれば致死率は低いといいながらすでに発症者数はそれを超えており、冬場の気温がまだまだ続くだけに今後も発症者数は増加することが予想されています。
こうした新型肺炎報道がでるたびに各国の株価はそれなりの下落をするわけですが、どうも米国に関しては徐々にそうした動きが止まってきており、ほかの国に比べると影響が少なくなってきているように思われます。
なぜこうした状況になるのかにはやはり秘密があるようです。
FRBの徹底継続する隠れQEがリスクでも株価を上昇させる特殊相場を形成
直近の相場状況を米系の証券アナリストは既にニューアブノーマル相場などと呼び始めているようですが、これだけリスクがあっても株価が逆に上昇してしまう状況をアブノーマルという言い方で示しているようです。
米国の金融市場は依然としてFRBが政策決定会合での金利据え置きとは別に、短期のレポ市場の安定化を大義名分に隠れQEを月額600億ドルのTビル購入の形で延々と継続しおり、さらにそれにに加えて適宜短期のレポ市場自体にもNY連銀から資金を投入しています。
こうした緩和の資金の多くが大量に米株市場に流入してくるのは明らかな状況で、もはや新型肺炎の感染拡大には影響されない相場状況が形成されているようにも思われます。
さらにトランプ大統領は11月の大統領選にむけてPPT・プランジプロテクションチームを構成して何としても株価を下げさせない動きに出ています。
米株だけはリスクと関係ない状態がこのまま続く可能性も十分にでてきているといえそうです。
本邦日経平均が同じような動きになるとは限らない
米国市場に関しては新型肺炎で大量の発症者や死亡者が出ない限り意外に大騒ぎにならずにこのニューアブノーマル相場が本当に継続してしまいそうな雰囲気ですが、気をつけなくてはならないのは本邦の状況で、それと連動した動きになるかどうかはまだ判らないのが正直なところです。
現状は、消費増税の影響から政府や日銀が説明している以上に景気が悪化していることで、それだけでも日本株はここから新型肺炎とは関係なく自律的に下落が見込まれることが挙げられます。
さらに中国経済が大きく景気後退で下落していくことになれば米中の通商協議の小競り合いだけでも減少した工作機械などの売上が劇的に減少することが予想され、米国とは異なり激しく国内景気が沈みこむ可能性が出てきています。
新型肺炎による中国経済の景気落ち込みの影響を受けることは間違いなさそうで、米株とは別に日経平均がここから大きな下落トレンドに入るリスクを注視する必要がありそうです。
こうなると気になるのはドル円で、日本株の下落に連動することになればドル円は下落する可能性が高まりますし、そもそも新型肺炎の影響だけでも下落気味に動いていますからここから大きく上昇することは考えにくくなりつつあります。
このように同じリスク要因でも米株市場と日本株市場に及ぼす影響が異なるというのはなんとも理不尽な話ですが、そういう事態が現実のものになることは意識しておく必要がありそうです。