バイデンの対中東外交変化で原油上昇か~インフレへの影響懸念も
Photo NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210205/k10012851021000.html

ここへきて原油価格が上昇をし始めています。

もちろん米国経済の回復が予想以上に早く、リスクオンの相場展開になっているということも影響しているのは事実のようで、それ以外に大きな要因となりつつあるのがバイデン新米国大統領の対中東外交の大きな変化も指摘され始めています。

2月4日バイデンは中東のイエメンで続く内戦を終わらせなければならないなどとして、トランプ前政権が積極的に行ってきたサウジアラビアが主導する軍事作戦への支援を停止することを明らかにしています。

この内戦を終わらせなければならないというのは、その趣旨で国連が主導する停戦に向けた仲介を支援していく考えを示し、レガシーな米国メディアでは大きな賞賛を浴びています。

その結果として武器の売却を含む米国からサウジアラビアへの軍事作戦の支援を取りやめることを明らかにしています。

この選択は中東和平に向けての新たな方針として注目されますが、よくよく考えてみますとイエメンへの内戦支援はオバマ政権時に行っていたことで、当然バイデンも副大統領として関わっていた話です。

トランプ政権の政策を変更したというよりは、自らが関わった政策をここへ来てひっくり返しただけというなかなか微妙な状況を作り出しはじめています。

対サウジアラビア、イスラエル政策が大きく変わる

トランプ政権は共和党をはじめとする議会の抵抗をもろともせず、サウジアラビアを全面支援しイエメン内戦に介入するサウジへの支援の停止にも抵抗してきました。

ジャーナリスト・カショギ氏の殺害にも関与したとされているサルマン皇太子の責任を追求することもありませんでしたが、バイデン政権ではサルマン関係の機密文書の公開に踏み切ることとなるようで、カショギ氏殺害への関与が明確になった場合には相当大きな問題に発展することが予想されるだけに、世界最大の産油国であるサウジからの石油の輸入がぎくしゃくすることで、原油価格が上昇するのではといった憶測もあり、すでにNY原油は58ドルで2020年1月以来の上昇となってきています。

また、ブレント価格も60ドルを超えてきており、一気に原油価格の上昇が顕在化しつつあります。

トランプ政権はイスラエルとアラブ4カ国(アラブ首長国連邦、バーレーン、スーダン、モロッコ)の国交正常化を仲介し、トランプの娘婿のクシュナーはノーベル平和賞を受賞するかもしれないとさえ言われています。

どうやらバイデンは中東とイスラエルに対してより中立的な立場を強めることになりそうで、中東、イスラエル政策へのバイデンの変更姿勢がさらに原油価格を押し上げる可能性もあり注意が必要になってきています。

最大の問題は米国のインフレ加速

FRBは2022年までは何があっても利上げなどは考えないとしていますが、景気の回復とともに市中にバラまきすぎた米ドルによるインフレが進行しつつあるようで、これが原油価格の上昇でさらに加速するようなことになれば、利上げを進めないなどという悠長なことを果たして言っていられるかどうかが大きな問題になりそうです。

バイデン政権はグリーンニューディール政策でエネルギー関連の政策を大きく変えようとしていますが、原油への依存を低下させても完全には利用を停止できるところまでは相当な時間がかかるのも事実で、結果的にインフレを加速させるような事態に落ち追った場合、金融政策がかなり難しい状況になることは意識しておく必要がありそうです。

今後原油価格がさらに上昇することになると具体的な影響も顕在化することになりそうで、為替市場にもそれなりの影響が出ることは覚悟せざるをえない時間帯のようです。