日経平均株価は週明けの2月15日、なんと30年半ぶりに3万円台を回復して取引きを終えました。
当時、米国NYダウは2000ドル台でしたが、以下に日米の株価に開きがあったのかを改めて実感させられる状況で、それだけ米株に比べれば上昇余地があるとみる米系のファンド勢などが積極的な投資に動いている模様で、当面はこの上昇軌道を維持しそうな相場になってきました。
米株も前週史上最高値を更新しており、このような株式市場を受けて為替は全面的にリスクオンの動きとなっており、ドル円もクロス円の堅調さをベースにして105円台を推移しはじめています。
ただ、こうした相場の中で非常に気になるのが相場になじみのない素人同然の個人投資家が大量に参入していることで、ここからの市場はこの状況が最大のリスクになりつつあります。
過剰なリスクをとり過ぎる個人投資家
米国ではバイデン政権の追加経済対策で多くの家庭に追加で、1400ドル程度の給付金が支給されることとなりました。
これがまた株式投資の原資として利用されることはほぼ間違いないようで、ロビンフッダーをはじめとする個人投資家は積極的に株式市場や仮想通貨市場に投資を継続して展開中です。
バブル相場の最終局面というのはとかく個人投資家が大挙して市場に参入するもので、今回の米株相場や仮想通貨相場などではSNSのコミュニティの投稿内容に呼応するよう特定銘柄に個人投資家が集中投資をして、相場を大きく持ち上げるといった過去にはない動きに出ていることで、4600万人ものフォロワーを有するテスラの創業者イーロンマスクがツイートで呟く内容にも驚くほど多くの人々が反応し、ビットコインはとうとう5万ドルを超える上昇となっています。
こうした個人投資家たちは、ひとりひとりはそれほど大きな資金を持っているわけではありませんが、高いレバレッジを駆使したり証拠金取引に手を出したりということで、とれる限りのリスクをとって市場に参入していることが非常に気になるところです。
相場の下落局面では一斉に出口に逃げ惑う個人投資家
今回株式をはじめとする金融市場に参入している個人投資家はミレニアル世代が中心で、過去に投資経験がなくまた相場の下落で損失を被った経験もない人たちが殆どであることから、投資手法は完全に自己流でありしかもレバレッジを最大に利用するなど、取れるリスクを全部投入して相場に向き合っているところがかなりリスキーのようです。
ひとたび相場がくずれだせば損切も置かないこうした人々は、一斉に出口に向かって殺到することになりますから、流動性を欠いた相場状況では必要以上に下落が加速することになりかねず、これが相場全体を大きなリスクに陥れるきっかけにもなりかねない状況です。
また、安易に利益がだせて強い成功体験をもった向きは大幅に下落する相場を押し目と思って買い向かい、大きな損失を被ってすべての投資資金とそれまでの利益を失いかねない状況もあり、楽観的な個人投資家が大量に市場に参入している状況は、そうとう深刻なリスクに直面していることがわかります。
バブルの最終局面では、暴落を経験したこともなく恐れを知らない個人投資家が実はもっとも稼ぐ存在になりがちで、ひとたび相場の方向が変わり始めるとこうした人たちが思わぬ行動にでることから、市場全体のセンチメントが大きく変わる可能性はかなり高そうで、ここからの市場はこれまでに経験したことのない新たなリスクに直面することになりそうです。
金融当局も銀行などに対する規制を強化することで一定のリスク回避を行ってきたわけで、個人投資家に対してはほとんど有効な手立てを持っていないのが実情で、しかも政権が積極的に行う給付金の支給がこうした個人投資家の投資原資になっているという点はなんとも皮肉な状況にあることを示しています。