いよいよ注目の史上初10連休がスタートしました。本邦勢だけが不在の期間が連続6営業日となるわけですから、決して不思議ではない状況でかなり注意が必要な一週間ということになりそうです。
ドル円は下方向に依然注意すべき
ゴールデンウイーク前の一週間、ドル円は24日から25日の朝に向けて本邦の店頭、取引所FX業者の多くがスワップを11日分まとめて付与する時間帯にむけてきわめて特殊な動きをすることとなりました。まずNYタイムで下がらなくなったドル円はロンドンFixを超えたあたりからじりじりと値を上げ、それまでなかなか上昇できなかった112円台のストップロスを次々とヒットさせる形で112.400円レベルまで上昇を果たします。しかしそれ以降ストップロスがついてしまったあとはその動きも続かず、逆に25日の東京タイム以降は調整相場となって夜のNYタイムには1円近く下落して111円台前半まで押し戻されるという動きを見せ、買いで臨んだ向きが一旦切らされるという場面も見られることになります。
結局ドル円は111円台中盤で長い連休を迎えることになりました。
この連休にかけては輸出勢は112.500円から上に相当量のリーブオーダーを7日の東京タイム開始まで置きっぱなしとなりますので上値は想像以上に抑えられることが予想されますし、下値方向も1月3日のフラッシュクラッシュの反省から輸入勢がかなり下のレベルまでリーブオーダーを置いているようでこちらも大きな動きがなければそれほどドル円相場は動かない可能性も考えられます。ただし輸出勢に比べますと輸入勢のリーブオーダーは少ない模様で状況を見てから対応するという独特の体制でもあることから抜けるとなれば下方向のリスクが高くなりそうです。
また本邦の個人投資家がかなりドル円を下落に備えてショートしているという話もあり、この一週間は結果的に上にも上がらないが下にも下がらないことも想定しておくべき状況といえそうです。
トルコリラ円下落にも厳重注意
この休み期間中、ドル円自体よりも注意しなくてはならないのがトルコリラの動きです。トルコリラは国内のインフレが年率2割を超えるレベルで急激に進んでいることに加えトルコ中銀の外貨準備率が急激に下がっているのではないかという懸念から対ドル、対円で売られやすくなっており、実際にトルコリラ円はかなり下落する状況になってきています。
またエルドアン大統領の言動が米国、欧州勢をかなり刺激しているようで、政治的なリスクを考える必要がでてきています。
1月3日のフラッシュクラッシュでも相当値を下げたトルコリラ円でしたが、この休み期間中は逆にトルコリラの下落がドル円、クロス円全般を押し下げるという危険性にも相当注意する必要がありそうです。場が薄いときに大きく下落がはじまりますと、ドル円も相当巻き込まれる危険性があるだけにロングを持つときにはタイトなストップロスをつねに置いておく必要がありそうです。
ユーロドルは一旦下げ止まり
ユーロは対ドルで依然として弱含んだことから下落が懸念されました週末に向けて買い戻される形になっています。ただし対ドルで1.12に戻ることができなければ再度下値を試す可能性もあり注意が必要です。
ユーロの弱含みのおかげでドルインデックスはまたしても上昇していますが、この数字が上昇するたびにトランプからけん制発言が過去にも飛び出していますので急な戻しに備える必要もありそうです。
リスクは5日1日
5月1日(日本時間では5月2日の午前3時)には5月のFOMCの政策決定内容が発表となりますが、この日欧州は英国を除いて多くの国がレイバーデーで休日にあたっており、中国もこの日から4連休であることから週内ではこの日がもっとも流動性が低下することも予想されており、政策決定内容やその後のパウエル議長の会見内容次第では相場が想像以上に動くリスクにも十分注意が必要になりそうです。
とくに一定の動きがでますとアルゴリズムがそれに追随することで動きが増幅されることも予想されますから通常以上に警戒することが求められそうです。
市場参加者はすでにかなり日本の10連休を意識しているように見受けられますから結局なにも起こらずに無事通貨という結末に至ることもありそうですが、本邦の株式市場における現物株売買は6営業日ぶっ通しで売買ができませんから株がなんらかの理由で下がり始めた場合確実にヘッジの意味合いからドル円が売り込まれるリスクが高まることも想定しておく必要がありそうです。
ファンド勢はとかく7月の夏休み前に大きく利益を上げておきたいと考えるものですから、この時期の相場の特殊な状況には少なからず仕掛け売買をしてくることが十分に考えられます。気を抜かずにリスク管理することが肝要な1週間です。