毎年本邦のお盆休みともなると仕掛け売りなども登場して円高になりやすいのがこの時期のアノマリーとなりますが今年は105円を抜けてかなり下押しするのではないかという市場の危機感が漂ったものの、105円ジャストに存在する巨大なバリアオプションとその周辺でのGPIFと思しき本邦のPKO軍団の強力な買い支えもあって結果的にはお盆休みの1週間だけではあまり大きな下げを見ずに週末を迎える形となりました。

ドル円4時間足 8月の動き

ただ、8月1日に109.319円の高値をつけてから105.050円まで12日のロンドンタイムにつけているわけですから4円以上下押ししておりそれなりの達成感を得ることはできたものと思われます。ただ、投機筋などは満を持してもっと下落を想定していたことでしょうからこれでは不満足という部分もありそうで、週明け一旦相場が上方向に戻すとしてもどこでこの105円抜けを狙った動きがでることになるのかに注目が集まりそうです。

週明けは週後半にむけて再度下押しに注意

105円台中盤あたりにはGIPFと思われるPKO軍団がリーブオーダーをもって控えているようですが、彼らは為替介入の部隊ではありませんので強い下落の動きがあれば下抜けする可能性は十分にあり安易な買い向かいは禁物な状況です。また105円ジャストに居座っている相当大きなノータッチオプションも24日までにはほとんど消滅するものと見られているだけに週の後半でいきなり相場が下落して105円を下抜けた場合年末に向けて100円方向に大きく下落する可能性もでてきています。足元の相場レベルから言えば100円を下抜けるのはそれほど驚くべき水準とはいえない状況で下手をすれば1日でも到達しかねないレベルであることをよく理解しておく必要があります。

相場の下落材料は豊富

米株相場のほうは一旦落ち着いた状態になっていますが、まだ下落トレンドが完全い解消したわけではなく、中間地点で次なる動きを模索している状態でこれが再度下落ということになりますと為替も間違いなく下落方向についてくことになりますので相当注意が必要になります。

Data ZeroHedge

98年にそっくりと言われることしの米株相場はいよいよ8月後半にむけてチャート形状が酷似してきており、相場を構成する材料こそ全くことなるものですが、チャートに沿った動きがでるとすれば8月後半にももう一山大きな下落が待ち構えている可能性も高く、一応の注意が必要になってきています。

また対ドルで7を超えてきた中国人民元はすでに常態的に7人民元超を維持しはじめていますが、これが7.2から7.3へと上昇した場合、かなりファンダメンタルズ的には強くなったと言われるアジア各国の通貨安を招くことになるのは必至の状況で、新たなアジア通貨危機が示現する危険性についても意識しておく必要がでてきています。

さらに中国が示唆している対中制裁に対する報復措置になにが飛び出すのかについても非常に注目が集まるところです。既に中国は米債の保有を減らし始めており、日本が最大保有国になるといった順番まで変化する状況が何を示唆しているのかもかなり関心の集まるところです。

Data ZeroHedge

ここから積極的に中国が米債を売り飛ばすような動きに出た場合には大きく下げている米債金利が反転上昇し始める事態に陥ることもありそうで、そうなるとFRBは利下げを実現できなくなり株価は想定以上に大きく下げる危険性も高まります。

もちろんドル建てで債務を抱えている中国企業などにもとばっちりの影響がでることになりますから、決して中国にとってプラスになる報復措置とは思えませんが、経済の場を借りた戦争だけに何が起きても不思議ではない点は肝に銘じておくべき状況になってきているといえます。