12月7日、ここのところすっかり話題にならなくなった北朝鮮が突然西部にある衛星発射場で、ICBM用と思われる固体燃料エンジンの実験を行い成功したらしいという報道がヘッドラインを踊りました。
米朝の協議が進まない中で、何とか米国の関心を引き付けたいが、故の北の行動なのではないかという見方が広がっていて、一説には対米でロシア、北朝鮮と連携を深めている中国の差し金なのではいかという憶測も広がっています。
米中の通商協議は進展しているのかいないのかよくわからない中で、15日の米国の対中関税の実施は刻一刻と迫ってきている状況ですから、これが実施された場合中国が北朝鮮を利用して、とんでもない米国への圧力を実施する可能性があります。
表面的には人工衛星の発射実験を謳うのでしょうが、実際にはこのエンジンを搭載したICBMを打ち上げることになりそうで、その発射の方向と着弾地点、さらに発射のタイミングが大きな問題になりそうな状況です。
ハワイ沖や米国の本土に近いところに着弾すればいきなり米中戦闘リスク急上昇
これまで北が打ち上げてきた飛翔体、簡単にいえばロケットは、日本海の比較的北朝鮮から近いところに着弾し、日本の領空を飛び越えていったケースは非常に限られていましたが、このロケットがICBM(大陸間弾道弾)であるとすれば、ハワイや米国西海岸に近いところまで飛んでいく可能性は十分にあります。
そうなった場合には、米国でも大きな騒ぎになるのは間違いありません。
米朝の緊張関係が一気に高まることが予想されます。
またこのICBMが間違って、日本の本土内のどこかに着弾するような場合も大騒ぎで、果たして日本側は迎撃ミサイルで撃ち落とすのかどうかも気になるところです。
前回、北のミサイルが頻繁に発射された際にも、日本国内に着弾した場合、ドル円は円が売られるのか買われるのかといったことがかなり議論になったものですが、今回日本に着弾してなんらかの被害が出た場合には、為替にも大きな影響が出そうな状況で、目が離せないことになりそうです。
もうひとつの問題は発射時期
すでに年末相場に入っており、米国はクリスマスに向けて多くの市場参加者が休暇をとりはじめています。
この北のICBMがいつ発射されるのかによっても、相場への影響はかなり異なりそうです。
例えばクリスマスの真っ最中の場合には、日本の株式市場は動いていますが、他の主要国の市場は完全に休場となりますから、影響がでるのは休み明けということで、それまでに大した被害がないことがわかれば、影響は軽微なものになることが予想されます。
逆に年始早々欧米の相場が開いている時期、時間帯に発射され、しかも米国に近いところに着弾でもしようものなら、株も為替も相場はリスク回避から大きく動くことが予想されます。
こんなことを様々なケースで予想するのはなんとも不快な気分ですが、現実的には着弾地点とのタイミングが非常に金融市場にとっては、クリティカルなものになることはあらかじめ理解しておきたいところです。
為替の場合に年始は1月1日以外、ほとんど稼働することになりますから、年明けにミサイル発射となれば、もっとも大きな影響を受けることになるため、注意が必要になりそうです。
日本に壊滅的な被害がない限りドル円はまず円買いになることが予想されますので、年末年始にドル円のロングを保有したままにするのは危険です。
また、トルコリラ円のようなスワップ狙いのロングもしっかりストップロスを入れて、一旦ポジションを解消できるようにする必要がありそうです。
日本と周辺国にとっては、北のミサイルが正月に飛んでくるなどいうのは実に迷惑なお年玉の話です。
エンジンが完成している以上、何かやらかしてくるリスクは相当高そうで、十分な注意を心掛けることをお勧めします。