年末に売りがでて一旦小休止かと思われた米国株式市場でしたが、年明け2日に初めての取引が行われた結果、3指数とも大きく上昇し、NY飽津は330.35ドル高、NASDAQは9092、S&P500は3257.85をつけて初日の取引を終えています。

トランプ政権はS&P500の目標を3250としていましたので、年初早々にこれをクリアする動きとなったことになります。

年末にFRBが実施した短期のレポ市場への過剰ともいえるほどの資金供給は、確実に株式市場を活性化しているようで、大統領選挙年のシーズナルサイクルからいえばここから3月ぐらいまで突出した動きにはならないのが常ですが、今年は引き続き延長するのかどうかに関心が集まるところです。

バブル相場の最終局面というのは、株とコモディティがもっとも走りやすいとされているだけに、このままさらにじり高上昇をする可能性ももちろん考えられるわけですが、CNNが毎日提供している恐怖と欲望の指数はなんと97という、これまででももっとも高い数値を示しているだけに楽観的相場は極まった感があり、ここからさらに上昇するのは過去の事例を照らし合わせると非常に難しい時間帯に突入したことがわかります。

Data CNN

為替の方はといいますと、米株に連動する動きはみせず、もっぱら米債金利との相関性の高い動きをみせています。

ただ、年末110円を窺う気配を見せたものの結局30日は大きく崩れ、すでに109円には戻れないレベルでの動きとなっており、1月は例年シーズナルサイクルとしても下落しやすいことから、月の後半までは円高傾向を示す相場が展開されそうな状況です。

さすがに今年の3日にはフラッシュクラッシュは起こりませんでしたが、下値を狙う動きは継続中です。

イランで高まる地政学リスク

一方、年末ぎりぎりのイラクの首都バグダッドで12月31日、米国による親イラン派勢力空爆に抗議する人々が米大使館を襲撃する事件が発生し、外壁を破壊するなどの行為が行われたことに米国は敏感に反応し、エスパー米国防長官は2日、イランとの状況は一変したとして、場合によってはイランへの先制攻撃を余儀なくされる恐れもあると警告を行ったことから、株価は先物を中心にして下落を始めています。

実際にバクダッド周辺では、29日に米軍がイスラム教シーア派組織の拠点3カ所とシリアの拠点2カ所に精密爆撃を行っており、事実上戦闘状態に陥りつつある点が非常に危惧されるところです。

株式市場の最近はほとんど悪い材料に反応しなくなっていますが、為替の方はこうした地政学リスクにはかなり敏感になっていますので、週明け以降の相場にどれだけこうした地政学リスクが影響を及ぼすことになるのかも注目されそうです。

株式市場はトランプの大統領選再選を想定しながら動いている気配が非常に強くなっていますが、ここまで猛烈な勢いで上昇してきた株式相場に一定調整がでても、ある意味ではヘルシーコレクションといえるだけに、3月までの中で多少の調整下落がある可能性はあらかじめ認識しておきたいところです。

ドル円は結局年間8円弱の値幅で、しかも年末の最後の2日で崩れたことから年足は陰線となり、昨年の始めよりも1円以上円高に触れて年間の取引を終えています。

今年はさらに上昇すると予想する為替のアナリストも多くなっていますが、現状ではそうした断定を行うのは危険で、あくまでも相場の状況を確認し、テクニカル的に合致したところで取引を行っていく必要となりそうです。

今年はまだ始まったばかりで、相場のセンチメントははっきりとはわかりませんが、第二週になるとそうした動きも鮮明になることが期待されます。