Photo AFP https://www.jiji.com/jc/article?k=2020010800864&g=int&p=20200108atG1S&rel=pv

年初に突然降って沸いた米国のイランの革命防衛軍司令官に対するドローン攻撃の暗殺は、イランと米国の大きな戦争に発展するかと思われ、しかもかなり長期化が予想される事態に陥るとなりました。

実際のところは、イランからの2発の弾道ミサイルがイラクにおける米軍基地に着弾したものの、その内容は事前に伝達されていたことから死傷者を一切出すことなく、9日未明に行われたトランプ大統領の演説でも即座に経済制裁はすることに至ったものの、これ以上の戦争行為には進まないことが決まったことから、株も為替も一瞬にしてリスクオンへと逆戻りし、ドル円は109.270円レベルまでストップロスを巻き込む形でショートカバーを実現するということになりました。

米国がこれ以上戦争しないということで、この問題がいきなり解決にむかうというのもかなり不思議なものがあり、そもそも出来レースだったのではないかと疑いたくなりますが、相場はすっかり消化してもとの楽観的相場へと戻ることになってしまいました。

確かに違和感は感じますが、とにかく戦争へと突入せずに済んだのは何よりという状況です。

株式市場の楽観的相場再来

米株市場はこうした動きを受けて、さっそく年末から年初の楽観相場へと逆戻りを果たしています。

毎回ご紹介しているCNNの恐怖と欲望の指数は、年末に97と100寸前のところまでつけたあと一旦下落しましたが、昨日のトランプ演説を受けて93にまで回復するといった始末で、確実に楽観的相場が戻ってきていることを感じさせられます。

Data CNN

モルガンスタンレーによるレポートでは、今月1月14日の段階でFRBの資産買い付け価格の総額は史上最高を記録するとされていますので、FRBによる隠れQEと短期レポ市場への莫大な資金投入が続くかぎりこの株式相場は延々と続きそうにも思われます。

但し、上の恐怖と欲望の指数が100に接近しますと、必ずといっていいほどそのあとに調整局面を迎えることになりますので、1月後半から2月に向けて暴落とはいかないまでも、それなりの下落調整相場が実現するリスクを考えておく必要がありそうです。

それなりの下押しが実現した場合、米株については確実に押し目買いのチャンスになることが予想されますし、ドル円が同時期に押し目を作った場合にはやはり買いのチャンスになるそうです。

ドル円の場合、1月は年初に円安であっても一定の円高になりやすいのが過去20年のシーズナルサイクルで、今月後半20日過ぎから一定の下押しの時間に入る可能性が高まっています。

上述のイランとの小競り合いから下落したドル円は、107.500円レベルが異常に底堅い動きをしましたので、次の下押しのタイミングでは果たしてこのレベルを下抜けられるのかどうかにも注目が集まるところです。

新たな市場材料の出現にも注目

週末はいよいよ台湾の総統選挙、そして北朝鮮の動向も気になりますし、月末はまたしても英国のBREXITの期日が巡ってきますので、こうした材料から相場が下落する危険性についても意識しておく必要がありそうです。

FRBの市場に対する緩和措置はもはや、株価を一切下げさせまいとするレベルに達していることから、株の下落はさらなる緩和を呼び起こす可能性が高く、相場の下落は押し目買いのチャンスとして意識することも必要になりそうです。

ただ、日本株については今のところ米株に先行して上げるような動きを見せてきましたが、本当にこのまま相関性のある動きをするのかどうかははっきりしておらず、消費増税による実態経済の悪化や企業業績の低迷が進めば、米株との連動を外れて単独で下落モードに入る危険性も認識しておくべき状況です。

ドル円は必ずしも日経平均と連動した動きにはなっていませんが、下落局面にはついていくことが往々にしてありますので、こちらも注意深く見守りながらトレードをしていくべきでしょう。

イラン米国の小競り合いの一件から、相場は大きく動きもとに戻る展開となりましたが、再度下落を意識しなくてはいけない時間帯にはいってきています。