米国の株式市場は新型肺炎のリスクが依然高まり改善を収束の方向性がつかめないにもかかわらず株価の暴騰がはじまっておりNASDQはこの危機的状況でもお構いなしに史上最高値をつけるという、ちょっと常人の発想では考えられないような相場状況となっています。

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トランプ大統領は一般教書演説において自分が大統領に就任してから株価は70%も上昇しており、すべて自分のおかげであると発言していますが、結果だけから見ればまさにその通りで、景気や企業収益とはなんの関係もなく株価は上昇し続けている状態です。

日本はここまでエキセントリックではありませんが、日銀の人工的な株価の買い支えのおかげで景気はかなり悪化しているのにも関わらず株価だけが高く維持されるという、非常に特異な世界に突入しつつあります。

こうした状況を米国ではニューアブノーマル相場と呼び始めており、その異常さは特に現実的になりつつあります。

もともとこのニューアブノーマルという言葉は2008年のリーマンショックを予測していたNY大学の終末博士の異名を持つルービニ教授が2016年ごろから使い始めたものですが、ここへきてまさにその言葉通りのアブノーマルな相場が展開されるようになってしまっているのです。

為政者も中央銀行も株価維持だけに奔走する極めてレアな状況

こうした見たことがないような株式市場の状況が表す背景には大きく二つの要因が考えらえます。

まずは日米が非常に良い例となっていますが為政者(つまり大統領や首相)が自らの支持率や人気の維持のために株価を維持し上昇させることに躍起になり専門のチームを排して景気の実態とは関係なくそれに奔走することが挙げられます。

実際2018年末に米株が暴落した時点で、トランプはムニューシン財務長官を通じてPPT・プランジプロテクションチームを招集し無理やり株価を再上昇させるためにあらゆる方法を使っています。

またもう一つの要素として見逃せないのが中央銀行自体が金融政策の最大目標として株価の維持です。

上昇だけを大きな目的にし始めていることもこうした特別な状況おを作り出しているといえます。

FRBパウエル議長は2018年末までは利上げを積極的に行い、しかもFRBの資産を縮小するために資産売却にも専念していました。

しかし2018年末の暴落から突然政策を180度変換させ一転して利下げに転じ、昨年10月からはレポ市場の安定化を大義名分にして莫大なTビルの購入を継続的に行っており、事実上のQE4と同じ効果を持つ金融緩和を延々と続行中です。

表面的には独立した組織であると言われる中央銀行ですが、為政者が株価を最大のフォーカスポイントにしている以上、結局のところ忖度してそれを支えるような政策のプライオリティを猛烈に上げていることが強く窺われる次第です。

このように景気後退と株価下落のたびに中央銀行は積極的かつこれまでにない規模の緩和に乗り出しており株式市場は下落のしようがなく、逆に相場にリスクが発生するたびに逆に株式市場は猛烈に上昇してしまうというなんとも不思議な状況を作り出してしまうことになっているようです。

この視点で直近の米株市場を見ていますと納得のいくものがあります。

果たしてこれがどこまで続くのかが大問題

コロナウイルスがまん延しようが相場は押し目に買い向かい再度上昇を果たしてしまうことについて米国の市場参加者はかなり理解しているようで、まさに下落局面では激しく買い向かっているのが今の相場の状況でのようです。

当然のことながらドルはあらゆる通貨に対して強含みドル円も09円台中盤を回復していまさら110円突破を目指す状況になってきています。

しかしこのような相場状況が本当に未来永劫続くのかどうかには大きな疑問が残るのもまた事実です。

ここから何がきっかけで中央銀行でも防げないような大きな相場の崩れが起きるのかはまだ誰にもわかりませんが、どこかで異常事態に修正が入ることが非常に懸念されるところです。

長年相場を見てきて関わってきたトレーダーにとってはきわめて理解しにくい状況が形成されてしまっていますが、現実にこうしたことが起きてしまっていることは否定できず、ここからの相場には注意が必要になってきていることだけは間違いないものがあります。