4月相場が終了し週明けから本格的な5月相場が展開することになりますが、為替市場はかなりボラティリティーの低い状況が続いており取引量の減少していることから、ここからどのような方向感をもって動いていくことになるのか、今一つ見えないところにさしかかってきています。

ドル円は週前半107円台を維持できずに106円台に下落する動きとなりしたが、106円を下抜けるほどの動きを見せることもなく意外に下値の堅い一週間となりました。

月末となる30日のLondon Fixでは、ポジション調整で出たことから大きく上昇しNYタイムの後半には107円台中盤まで吹き上がる動きとなりました。

しかし殆どのショートを刈り取ってしまったあとは上昇が続かず、結局5月1日の東京タイム後半からじりじりと値を下げる展開となり、NYタイムには再度106.600円レベルまで試す展開となりましたが、週末ということもありその後は停滞し106.900円台で引けています。

ドル円1時間足推移

ユーロドルはECB理事会で買い戻されたが上値は限定的

4月30日にはECBの政策決定会合があり、政策金利の据え置き(0.00%)や限界貸付金利の据え置き(0.25%)、中銀預金金利の据え置き(▲0.50%)、TLTROの条件緩和、パンデミック緊急購入プログラムの維持(7500億ユーロ)が決定され、さらに声明文にてパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模を拡大し構成を調整する用意があるというメッセージが入れられたことが好感され、月末にあたる30日のLondon Fixでは1.1に迫る上昇を果たしました。

ただ翌日のNYタイムで1.1をつけたものの心理的な節目となったことから、それ以上の上昇はなく週の取引を終えています。

1.1レベルまで値を戻したのは一か月ぶりのことですが、ここからの上値抑制材料も豊富で果たしてさらに上を試せるかどうかがポイントになりそうな一週間です。

ユーロドル1時間足推移

今年のGWはフラッシュクラッシュはない可能性大

例年5月のGWは市場参加者の少ない間隙を縫って、フラッシュクラッシュなどドル円相場が大きく下げることが多くなるのですが、今年はそれほど円売りが溜まっているわけでもなく、下値も上値もそれなりのリーブオーダーがぎっしり置かれていることから、2019年正月のようなフラッシュクラッシュは起きにくそうな状況になっています。

もちろん過信は禁物ですが、むしろトルコリラといった新興国の高金利通貨の格下げなどが起きて大きく売り込まれるような場合には、ドル円も巻き込まれて相応の下押しを示現する可能性がありますので引き続き注意が必要になります。

最近では強いリスク回避の動き、米株の下落などの場合にはドル高で円高になりますが、よりドルに対する引き合いが強くなることもあって、どちらかといえばドル円はドル高動くことが多くなるのも気をつけておきたいところです。

トランプ大統領は選挙戦の目論見から中国を強く攻撃する姿勢に

Photo AP https://www.asahi.com/articles/photo/AS20200501003961.html

ところで米国のトランプ大統領は、新型コロナウイルスが中国起因の問題であると言い始めており、中国に責任があるという主張を強めています。

米国の調査機関は否定しているもののウイルスの発生源は中国、湖北省の武漢にある研究所の可能性があるとするのがトランプの見方で、国に関税の引き上げなどの制裁を科す可能性も示唆しはじめています。

これは新型コロナの影響で景気が当分停滞傾向となることを見越し、大統領選挙戦の一環として国民の支持を得やすい中国叩きのほうにシフトしようとしていることが窺え、米中両国がこの件でエスカレートすることになれば新たな地政学リスクを示現することになりかねない状況です。

実際5月1日この報道がでた段階でもドル円は売られて円高になる動きとなっており、米国の中国への非難の高まりはドル円をドル安円高にする可能性がではじめています。

欧州各国も中国に賠償を求める動きが加速しているだけに、新型コロナを巡って新たな対立軸がでてくることには注意が必要になってきているようです。

新型コロナの感染を巡っては米欧の各国がロックダウンを解除する動きがではじめていますが、本当にこれで収束するのかどうかはまったく判らない状態です。

何かをきっかけにして感染拡大となった場合には、さらに経済が低迷することも考えられまだまだ予断を許さない時間が続きそうです。

為替相場も方向の断定は禁物で、あらゆる可能性を意識して柔軟にトレードすることが必要な一週間になりそうです。