7月に入り、為替相場は先行きに迷いがあるのかその動きは徐々に小さなものになろうとしています。

株式相場は新型コロナお構いなしで上昇するのとは必ずしも連動せず、直近で各国に新型ウイルスの感染者が増加していることを危惧するかのように主要通貨ペアは上値の重い展開が続いています。

全体的に為替は金融市場の大きなテーマとなっていないことも緩やかな動きに終始する要因なのかもしれませんが、週明けに流れが変わるのかこのまま日柄調整を続けるのかが大きなポイントになりそうです。

米国雇用統計は良好な結果なるも為替は殆ど動かなかった

今年は米国の独立記念日が土曜日であることから休日が7月3日になり、雇用統計の発表もその影響を受けて7月2日の日本時間午後9時半となりました。

結果は市場事前予測の平均値よりも非農業部門雇用者数、失業率ともに改善したものの先月とは違ってドル円は全く動かないままに時間を経過させることとなり、翌日の東京タイムロンドンタイムも驚くほどボラティリティのない相場に終始することとなりました。

雇用統計発表後に瞬間的に107.650円レベルをつけたドル円はさらに同日22時に107.724円まで跳ね上がりましたが、上昇はその一瞬だけであとは延々と107.500円を挟んだ動きとなりました。

ドル円30分足雇用統計後を中心とした動き

チャートを見てもわかる通りほとんど上下に動かずに週の取引を終了していますので、果たして週明けこの状況に変化が現れることになるのかが注目されるところです。

6月30日の月末、半期末ではリバランスもあってかドル円は108円に接近する動きとなり、翌日7月1日もそうした動きはまったく引かないまま東京タイムに突入し108.164円までストップをつけて勢いよく上昇しました。

しかし、海外の投機筋と思われるこうした買いの動きも実需の売切り玉に徹底的につぶされたようで、当日中にすでに107.300円レベルにまで延々と押し戻される動きとなり、それ以降はほとんど戻りを試すことができないというかなり消極的な状況に陥っています。

ただ、107円を割れるところには逆に実需の買いも並んでいるようでこのままですと、当面107円と108円の値幅を行ったり来たりして時間を潰すような日柄調整相場になりそうな雰囲気も強まっています。

突き抜けないのであれば狭いレンジと割り切って延々と逆張りで稼いでいく手もあり、果たしてここからどうなるのかが週明け注目されます。

雇用統計は所詮遅行指標でこの数字が改善したからといってここから景気が大きく戻るかどうかは全く判らなく、何より週1時間でも働いた人間は新規雇用として参入されるという始末で、2か月で750万人もの人の雇用が確保されたからと言ってもいつ元に戻るかは全く判らない状況で、為替市場はこうした懸念を織り込むかのようにはしゃいだ動きを見せないままの状況を継続中です。

ユーロドルも渋い動きを継続中

ユーロドル1時間足推移

ユーロドルは週初に1.1227で寄り付いた後週央にかけて、一時1.1185まで下げ幅を広げました。

しかし、米国の経済指標が良好な結果を出したことなどを受けて翌7月2日には一時1.1303まで反発する場面もありましたが、上値ではそれなりの売り圧力も高くそのまま上昇することはなく1.12台中盤で週の取引を終えています。

香港をめぐる動きにも注意

香港は7月1日、香港国家安全維持法の前日遅くの施行により中国への返還から23年で一国二制度を早々と終焉する動きをとっていますが、トランプ米政権は中国政府が方針転換しない場合に新たな「強力な行動」を取ると表明しており、大統領選挙も意識してかなり厳しい策を講じる可能性も出始めています。

先週の段階ではまだ市場には大きな影響はでていませんが、米中の対立が本格化しう場合に果たして為替はリスク回避のドル売り円買いになるのか、リスク回避資産としてのドル買いからドル円上昇になるのかにも大きな関心が集まりそうです。

ただ、6月23日に発売された元大統領補佐官のボルトンの暴露本を読みますとプロレス興行のように仲が悪く見えるトランプと習近平も結構な駆け引きをしているようで、必ずしも額面通りの厳しい対立にはならない可能性もあり、先読みはかなり難しくなっている状況です。

週明けからの為替相場は決定的なテーマに欠ける状況が続きそうですが、どこかでいきなりリスクオフの展開になる危険性には常に注意しておく準備が必要となりそうです。