多少の下げはあってもここまで順調に上昇を維持している米株相場ですが、水面下では市場参加者の状況が変化してきているようで、これまで通り上昇し続けることができるかどうかが微妙になりはじめています。

「もうはまだなり」などと言いますが、3月の下落からすでに4か月近く上昇を示現している相場なので、どこで調整が入ってもおかしくはないのが実情です。

個人投資家でもベビーブーマー世代は既に利確にまわっている

相場を猛烈に引き上げているのはまぎれもなく個人投資家ですが、ミレニアル世代は引き続き強気で相場が下落すれば絶好の押し目とばかり買い向かう動きをみせています。

しかし、戦後産まれのいわゆるベビーブーマー世代はこの株高で、子供たちに少しでもお金を残してやりたいと考えているのか早々と持ち株を利確して相場から降りる動きをみせています。

最後まで相場に居残って損をするのはだいたい個人投資家で、この判断はかなり賢明なものといえます。

一体自分が何をしているのかよく理解しないままに新型コロナの給付金で、思わぬ収入のうるおいをロビンフッドやイー・トレード、シュワブなどをつかって株式市場に無闇に投入して売買に没頭している世代は、こうした市場の変化には全く気がついていない様子であるところがなんとも気になります。

株式主体のファンド勢は既に利確から売りの体制へ

また、米株主体で売買を行う株式ファンド勢はこの上昇でやはりすでに利益確定をしており、資金を引き出しては債券や金に振り向けるという動きを顕在化させています。

やはり株価は相当なレベルまで上昇しており、ここからはファーストアウトで離脱することを最優先としていることが窺われる状況です。

これまで債券市場は株式市場とは異なりかなり冷静な動きを継続してきましたが、ここへきて株式ファンドが債券のほうにポジションを振り替えているというのも非常に気になる動きといえます。

特にプロのファンドがすでに株式市場から大量に資金を引き出しているというのはなんとも気がかりで、市場の変化を敏感に感じ取っている可能性は高そうです。

米株は企業業績ベースで考えると明らかに高くなりすぎの状況


Data ZeroHedge

ご覧のチャートはS&P500の株価推移と企業業績の対比を示したものです。

これまで新型コロナをもろともせずに順調すぎるほど上昇した株価に対してすでに企業業業績がまったくついてこない状況が明確になってきており、どこかでこの差を埋める展開がでてきてもまったくおかしくないことを示唆しています。

早ければ7月中にそうした動きが出るかもしれませんし、8月が山場になる可能性も否定できません。

FRBが過度な株価の支えとなるような動きを見せていることから、市場ではもはや株は下がらないといった錯覚に陥る市場参加者も見れてるようですが、一定の値幅で上下動を周期的にくりかえすことが株式市場の本来の健全性で、このまま永続的な上昇を続けると考えるのにはかなり無理がありそうです。

相場の逆転下落減少が二番底をつけるほど大きな下げになるかどうかは依然としてはっきりしませんが、一定の調整を示現するリスクは認識しておく必要がありそうです。

また、米株に調整がでれば当然相関性の強い日経平均にも同様の動きになることが考えられますし、ドル円にも影響を与えることが考えられるだけに、ここから相場を買いあがるのであれば確実にストップロスを置くなどして過度な損失を食らわない準備をしておく必要がありそうです。

とにかく相場は米国の個人投資家を中心にして楽観的すぎる傾向があり、いきなり厳しい調整局面に見舞われてもまったくおかしくはない時間帯です。

年越し苦労に終わればそれにこしたことはありませんが、やはりまさかの事態に備えることが重要です。