7月に入って中国が国家安全法を導入したことで、香港の金融市場から人と資金が大きく逃げていくことになるのではないかといった懸念がマーケットに広がりました。
それを打ち消すかのように中国のメインランドである上海の株式市場は、米国が独立記念日でお休みだった3日頃から猛烈な上昇を示現するようになり、週明けもその動きが加速するような状況を継続中です。
特に週が明けてからの6日の上昇は猛烈で1日として前例のないような上昇をし、5年前のバブル相場崩壊前の動きをはるかに凌駕する様な上値追いをみせています。
時価総額もたった1日で日本円にして50兆円弱に膨れ上がる勢いで、中国政府自体は健全な相場の上昇と説明していますが、やはりその裏には国策で株価を上げようとする組織等が暗躍して、それに個人投資家が追随する動きが形成されていることが垣間見られます。
いずれにしてもこのタイミングからの相場の暴騰はやらせ感たっぷりでありどうみても当局主導の状況です。
狙いは香港金融市場の不安の払しょく感の醸成
このタイミングに上海総合指数が吹き上がるというのは上術の通り、香港が中国の1州に組み入れられすでに1国2制度というものが完全に終焉したことにより、これまで自由な金融取引ができることからアジアの金融センターの役割を果たしてきた香港マーケットの終焉といったことに対する危機感を払拭する狙いがあるものと思われます。
上海の市場が活性化しても香港とは関係ないと言ってしまえばそれまでですが、中国の金融当局が国力を挙げて中国の金融市場をこのタイミングを狙う形で思い切り株式相場を押し上げようとしているのは間違いなさそうで、完全に官製相場として上海株価が大幅に持ち上がっていることがわかります。
個人投資家動員のバブル相場醸成も大きな狙いの模様
米国では個人投資家が、ロビンフッドやイー・トレード、シュワブなどの取引手数料無料ソフトを使って大量に資金を米株市場に投入する動きがみられ株式市場だけみると完全に経済、景気の回復感が感じられます。
しかし、中国の金融当局も同様の手法を講じることで中国内の個人投資家が積極的に株式投資に回帰することを狙っているとも言われており、どうやらこの時期にあわせて市場再活性化で中国も景気の回復感を株価から発信していきたいと考えていることが窺われます。
ブルームバーグによりますと直近の中国個人投資家の株式投資に対するレバレッジの比率は、4年前のバブルと比べてもかなり高く推移しはじめており、個人投資家がより大きな取引を行おうとしていることが垣間見えます。
ただし、投機筋が伴わない中国の個人投資家主導の金融投資は短期に活性化するものの上昇の賞味期限は必ずしも長くないのが大きな問題で、非常に短期的なバブル相場を形成してあっけなく終焉してしまうリスクいについても意識しておく必要がありそうです。
2014年の株式バブル相場も一気に上昇したものの、ほぼ同じレベルまでシュリンクするのにもそれほど長い時間はかからなかっただけに、暴騰してもここからどのように推移することになるのかが注目されるところです。
現状では注目のロビンフッドを利用すれば中国メインランド株の指数取引可能になってきていますから、海外からの資金の投入による株価の上昇を市場の拡大も期待されそうですが、この国の場合具合が悪くなると途端に売りができなくなったりと通常の資本主義国ではありえないような取引制限がでることもありますし、何より中国株が大幅に下落することで主要国の中央銀行主導のバブル相場に影響がでることも考えられるだけにこの先の相場の動きを常に注視していく必要がありそうです。
為替相場の世界でいいますと、豪ドルやニュージーランドドルは中国株が上昇することでかなり安定的な上昇がはかられる可能性があり、それなりの影響を受ける可能性がでてきています。
すっかり動かなくなった為替相場の中で中国からのポジティブな影響で相場が上昇することはおおいに期待したいところです。
いずれにしても各国ともに新型ウイルスの感染問題などまったく解決がついていないにも関わらず、政治的な要因も絡んで株式市場だけがV字回復となっているのはどうも納得のいかないものがあり、どこかで実態経済に株価がサヤ寄せするタイミングが起こることも想定しながらトレードをしていくことが必要になりそうです。