今年の本邦のお盆休みウイークは例年とはかなり異なり、株も為替もなぜか上昇方向に動くという流れになりました。

オプションSQを睨んで買いあがった日経平均は、とうとう2万3000円台を回復することでこのレベルのオプションを売りでもっていた向きは株でいうところの踏み上げにあって、損失を免れるためにあえて先物の買い進むことで、ヘッジをかけたことも相場の思わぬ上昇に拍車をかけてしまったようで、お盆前の週末とは大きく異なる相場状況となりました。

ドル円も今年ばかりは例年の円高方向に動くことはなく、週末に向けては107円台を回復する場面すら見られるほど上昇を果たすことになりました。

こちらはお盆休みで売りはリーブオーダーのみの状況であったことから高値を叩きに来る向きもおらず、ストップをつけて上昇するとほとんど下がらないというお盆相場ならではの状況が高値相場を維持させることになってしまったようです。

ただ、こうした動きが週明け以降も続いて行くのかどうかは非常に大きな問題で、休み明けに実需筋が登場することで様相が変化することにはかなり注意が必要になりそうです。

ドル円は上値で相当売られやすい展開になる可能性に注意

ドル円は8月15日のLondon Fixのタイミングに107.050円まで上昇しましたが、ストップロスをつけて上昇しただけのような形で、そこから上のリーブオーダーをこなすことはできず、週末に特段買いあがる材料もなかったことから106円台中盤で終末の取引を終えています。

ドル円1時間足推移

週明けはお盆休みから復帰した輸出の実需勢が107円以上に置いておいてつかなかったリーブオーダーをリアルな相場で売り下がってくる可能性があることから、当面はここから107円台を大きく買いあがるのはなかなか難しそうな状況になってきてます。

ただし、米債の長期金利は上昇ぎみの展開でこれはドル円を押し上げる材料になりそうです。

為替相場はとかくオーバーシュート気味に展開するものですから、107円台を上伸する可能性はまったくないとはもちろん言えませんが、現時点では上値にめどは最大でも108円、下値は105円あたりまでが想定されそうです。

9月以降の相場が例年通り買いあがることになるのかどうかも気になるところですが、年末までの数か月を考えた時に月足でのチャートを見ますと12か月、24か月、60か月移動平均をすべてドル円の実態が下回り、移動平均線もすべて下向きを指しています。

100円にまで到達するかとうかは判りませんが、まだ下向きの動きを示現する可能性はかなり高そうに見えます。

ドル円月足推移 12か月、24か月、60か月移動平均線付

ユーロドルは一旦ピークをつけたものの引き続き強さを発揮

ユーロドルは8月に入って実に2年3か月ぶりに1.1916レベルまでつける動きとなり、さすがに短期間に買いあがり過ぎた感もあり、ロングの枚数が溜まり過ぎたことからお盆休みの習は下落傾向の強い相場となりました。

ただし、1.17台まで下落するとかなりの押し目買い意欲も見られ、その後は上昇トレンドを強く意識させられるボリンジャーバンドのバンドウォークも示現したことから、この先の相場もそれなりの強さをもってさらに上昇の余地を伺いそうな動きになっています。

週明けのユーロドルは一旦もみ合いのランダム相場の展開になることも予想されますが、大きな押し目がでたときには秋口の相場にむけていい買い場になる可能性も考えておきたいところとなってきています。

トルコリラは20日の中銀政策決定会合に注意

トルコリラ円日足推移

ところで、ドル安傾向が強まる中、唯一独特な動きをしているのがトルコリラでとくに8月に入ってからはトルコリラ円が14円台に沈みこんだまま15円台に復帰することができない推移を続けています。

20日はトルコ中央銀行の政策決定会合が開催の予定ですが、物価の上昇を考えれば利上げで対応すべきところをエルドアン大統領の意向にそってまさかの利下げに踏み切る可能性が高まりを見せています。

この場合投機筋も含めて市場はリラ売りを加速させるリスクがかなり高くなりそうで、ドルトルコリラとドル円との掛け合わせでできているトルコリラ円が大幅に下落するということは、ドル円もそれに巻き込まれる形で大幅下落に直面するリスクに警戒すべき状況となってきています。

2018年8月のトルコリラショックの時もドル円はいとも簡単に2円弱の下落を食らっていますので、ここから105円台まで下落することはそれほど難しいものではなさそうで、この20日のトルコ中銀の政策決定会合の結果には相当警戒する必要がありそうです。

国内の個人投資家はこのお盆休みは、新型コロナの影響でどこにも行かれないこともあり、かなりFX相場に参戦したようです。

市場参加者がきわめて少ない状況下で、動いた相場と週明け実需筋も復帰して展開する相場はがらりとセンチメントが変わることも十分に想定されるだけに、前週の動きが本当に継続するのかどうかをしっかり見極めて相場にエントリーすることが重要になりそうです。