民主党バイデン陣営が副大統領候補に選んだカマラ・ハリス上院議員を選び、主要政党では黒人女性として初めての副大統領候補であるハリス女史に人気が集まりつつあります。
しかし、トランプとの討論会を新型コロナを理由にして行わない姿勢を貫くなど、民主党もどうも不思議な選挙戦を展開することになりそうで、いったいどういう結末になるのかの不透明感は依然として高い状況が続いています。
また、ハリス女史は黒人の代表のように思われがちですが予備選挙でも必ずしも黒人層の支持を得ておらず、看板と支持の実情に齟齬があるといった指摘もでています。
したがって、副大統領候補の存在がどれだけ選挙戦に影響を与えるのかもここからの推移を見てみないことには良く判らない部分が残されているようです。
そもそも大統領当選二期目の大統領選挙というのは信任投票の意味合いが大きく、通常は現職があっさり敗れることはないのですが、日々物議を醸すトランプではバイデンに票が流れるのも無理はない状況で、事前の世論調査ではバイデンがリードするといった厳しい状況を今のところひっくり返せていないのが実情です。
メディアの調査に登場しない隠れトランプ支持者が今回もどの位存在するのかが非常に大きな問題になってきています。
ただし、既存メディアはトランプ嫌いで相当バイアスがかかっていることから、支持率の調査結果が本当に米国民の実情を正しく示しているのかどうかということを疑う向きも増えている状況です。
バイデン勝利となった場合どこまでトランプの政策を覆せるのかが大きな問題
トランプが継続して大統領職を4年全うすることになれば、政策にはそれほど大きな変化は表れないことと思われますが、ドルについてはどこかのタイミングで連邦債務を減らすために明確にドル安に舵を切ってくることが考えられます。
そうでなくても、ドルに対する市場の信任性は低下中ですからドル安に持っていくのはそれほど難しいものではない可能性があります。
一方バイデン政権になった場合には、かなりの部分でトランプの政策を巻き戻す動きになるでしょうから、とりあえず最初の4年でどこまでトランプが実施した政策を修正するかに非常に力を削がれる可能性が高く、とくに新型コロナ対策に関してはバイデン政権だから感染が急激に収まるといったことはまったく期待できない状況で、富裕層に対する増税などもすぐに現実のものになるかどうかは良く判らない部分が残ります。
結局FRBが足元の政策を継続する限り政権交代が金融市場に影響を与えない
金融政策ではFRBが既に未曽有の無制限QEに乗り出しており、こちらも政権が代わったら政策が大きくかわるとはまったく思えないだけに、実は政権交代は金融政策にはほとんど影響を与えないではないかという見方も広がっています。
とくに低金利の維持とFRBのバランスシートの拡大については迂闊に方向転換を表明した途端に相場が大暴落となるリスクがあるため、トランプ、バイデンのどちらが次の大統領になっても意外に違いを発揮させることが難しくことが考えられます。
こうなると、2016年の選挙戦のようにどちらが勝利するかで相場が揺れ動くということも今回に関しては、意外に少なく市場参加者が期待するのとは別に意外に淡々とした相場展開になる可能性も高そうです。
もちろんトランプとしては、選挙前11月までに闇雲に株価が下がるようなことはしたくないと思っているはずですが、史上最高値領域を推移しているわけで、中国との対立が激化して激しくやりあうことになって多少株価がそれによって下落しても民主党バイデンを追い落とす大きな材料であると判断した場合には、さらに中国叩きを行うことで国民の支持を得ようと動く可能性も否定できません。
株価は11月まで絶対下がらないと断定するのは相当危険で、8月相場こそ夏枯れを乗り越えて上昇したわけですが、これが9月以降そのまま続くと決めつけるのは相当危険な状況です。
また、誰も口にしなくなった新型コロナの二番底狙いの話も別に完全消滅したわけではなく、ここから米国をはじめとる感染があらぬ方向に進んでしまった場合には想定外の相場暴落も十分にあり得ることだけは意識しておくべきでしょう。
大統領決定後というのは、だいたい年末を控えて9月に低迷してその後は大きく上昇するというのが一つのアノマリーになっていますが、すでに8月相場でもシーズナルサイクルはあっさり破られていますので、大統領選に向けての相場の動き、さらに選挙後の動きについても予断をもたずにフレキシブルに相場の動きに対応できるようにしていくことが重要になりそうです。
大統領戦まであと2か月半となりましたが、今回はコロナ禍での開催ということで通常の選挙戦とは異なる展開となることも想定しておく必要がありそうで、相場への影響もこれまでのケースとは異なるものになることを考えておく必要がありそうです。