11月3日、いよいよ市場が注目する米国大統領選挙が実施され、投票終了後から即日開票が開始されます。
通常翌日の4日には開票結果がわかり、どちらが勝者になるのかは同日の夕方候補者が敗北宣言を出すことで決まることが通例となります。
しかし、今年の場合はコロナ禍で事前投票が既に8500万人にものぼってり郵便投票の比率が高いうえ、週によっては投票した候補者を変更することも可能という仕組みが導入されていることからおよそ4日では決着がつかない状況で、トランプが事前に口にしているように最高裁などの司法判断での決着に持ち込まれ、相当な時間がかかる可能性が非常に高まりつつあります。
10月最終週は選挙を控えた時間帯ということで米株の調整もかなり進みましたが、S&P500が週間で5.6%下げ、過去の大統領選前の1週間としては過去最悪を記録しています。
また、ナスダック100は2.6%安となりアップルの決算がiPhone販売不振から期待外れとなったことを受け、景気減速でさらに利益が落ち込むとの警戒が広がり相場の下落を加速することとなっています。
大統領選の問題以外の材料も相場に関係していることから、ここからの相場の動きを見通すのは難しくなっていることがわかります。
米大統領選は4日の開票で決着がつかない場合相場大幅下落に注意
今週最大の問題となりそうなのは大統領選挙後勝者が決まらない状況に陥る場合で、2000年のケースでもここから株価は大きく下落することになっているだけに、それと全く同じ軌跡をたどるようなことになった場合には、間違いなく為替相場にも大きな影響がでることが予想されるところです。
注目されるのはブッシュ対ゴアの戦いで勝敗の決定が遅れた期間、ドル円は6円近く上昇しており、リスクオフになるとドル円はまたしても上昇するのかどうかが大きな注目点になります。
市場参加者の間では株価はトランプが勝ってもバイデンが買っても上昇するものの、ドル円はバイデンの勝利で大型の投資計画の実現から財政赤字が猛烈に拡大、長期金利も押し上げることでドル高になるのではといった見方が強く、どちらかの候補が決定した場合には動きが変わる可能性にも注意が必要になりそうです。
欧州で猛烈に拡大する新型コロナ再感染
一方欧州圏は新型コロナの感染再拡大に歯止めがかからず、これまで経済を止めることは極力しないということで各国が取り組んできたものの、ここへきてロックダウン以外には有効な手段を見いだせないところに陥っています。
上の感染状況マップを見てもわかるとおり英国、フランス、スペインはかなり深刻で、中でもスペインは早々と来年5月まで非常事態宣言を継続すると発表して市場を驚かせています。
また、ドイツや東欧諸国の感染拡大は地図上ではまだ大した状況にはなっていないように見えますが、実際は猛烈なスピードで拡大しており、チェコでは1000万人の人口で1万人が毎日感染といった驚くべき事態も露見しています。
当然ユーロがこうした状況下で買い上げられる可能性は低く、リスクオフではやはりユーロドルはドル高になることを意識しなくてはならない状況です。
また、大統領選挙ばかりが注目されていますが実は米国でもコロナ再感染は深刻で、選挙後に大きくクローズアップされる可能性があり注意が必要です。
ドル円はリスクオフで再度ドル高への動きに注意
ドル円は10月最終週104円割れを何度か試しに行く動きとなりましたが、結局本邦勢のPKO軍団の盤石な買いオーダーを突破することができず、一週間の取引を終えています。
週明けは相場に新たな材料が供給されることもありえますので、状況が大きく変化する可能性は否定できませんが、リスクオフがまたしてもドル高の動きにつながることも十分想定しておきたいところです。
チャートをテクニカル的に見ますと、若干いびつながらリバースヘッドアンドショルダー・逆三尊を形成しているようにもみえ、107円を抜ければさらに110円方向まで上昇する可能性が見えてくることになります。
ファンダメンタルズの材料を考えた場合、果たしてそこまで上昇することができるのかどうかにはかなり大きな疑問が残るところですが、多くの市場参加者がこれを意識しているということも忘れずにトレードしていきたいところです。
ユーロドルはさらなる下落も視野に入る状況
ユーロドルは先週21日にはロンドンタイムで1.18807まで上昇する動きとなりましたが、その後新型ウイルスの感染拡大からフランスでの長期ロックダウンが発表されたりスペインやイタリアでも感染が拡大、ドイツ、東欧での広がりから既にEU圏全土に危機的な状況に陥っていることを受けてユーロ売りが進んでおり、週明けさらに下押しするかどうかに注目が集まります。
全体的に為替相場は予測不能なリスクがいくつも押し寄せており、妙に方向感を断定して臨んでしまいますと大失敗をして大きく証拠金を失う可能性が高い時間帯にさしかかっています。
週前半は何が起きるのかをしっかり見極め、さらに相場がそれにどう対応して動き出すかを確認してから売買をはじめても決して遅くはなさそうです。
迂闊にエントリーして方向感を失うことがないように気をつけたいところです。