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市場では米国大統領選挙が近づき英国のBREXIT交渉に対する注目度が大きく減少しつつありますが、すでに当初の交渉期限である10月末が到来しており、ここから果たしてどうなるのかがポンドとユーロの行方を占う意味でも改めて注目されることになりそうです。

次のポイントは11月中旬

本来英国とEUとで事前に決めていた合意期限は10月31日であったはずで、現状ではこのタイミングに何かが決定することはないようで、EU側も交渉決裂を避けさらに継続して英国とのFTAの交渉を行うことが決定しているようです。

ただし、12月末の移行期限最終日は法律で決まっているだけにここからこれをひっくり返すことはできないようで、あくまでも今年12月中に何とか合意することが引き続き求められているようです。

EUとしては11月中盤まで合意をとりつけ、11月23日から26日に開催される欧州議会で合意ができればようやく批准手続きに入ることができるとしているようで、果たして本当にこのタイミングにおいてすべての決着がつくのかどうかが注目されるところです。

ドーバー海峡を挟んだフランスとの漁業権の問題は当初まったく調整がつかない難題とされてきましたが、フランスは現在新型コロナの問題で全土ロックダウンに見舞われておりトルコとも激しい紛争が起きていることから、どうやらそれどころではなくなっているようで、意外に簡単に決着を見る可能性も高まっています。

12月10日、11日にはEUサミットが開催されますが、この日までに合意にこぎつけられないと結果的に合意なき離脱が確定するリスクも高まりそうで、ここからの40日あまりはかなり神経質な時間帯になっていきそうです。

ボリスジョンソンは米国大統領選挙の結果を待っている模様

ボリスジョンソン首相は、どうやらここへきて米国の大統領選挙でトランプが勝利するのかどうかを確認したうえでここから、EUとどうするのかを決めるつもりのようで、英国も新型コロナ感染の問題ではかなり厳しいところに追いやられていますが、トランプ勝利ならば米英連合を盾にして合意なき離脱へ突き進む可能性が高まりつつあるようです。

このボリスジョンソン首相、新型コロナ感染の後遺症を理由に来年早々には退陣するのではないかという憶測も高まっており、それだけに最後に強引な動きに打って出ることもありえそうで、ここからの英国とEUの交渉は微妙な時間帯に入ってきそうです。

為替相場ではなんらかの合意を織り込み始めている模様

為替相場におけるポンドは一旦落ち着きを取り戻していますが、メディア報道で11月中盤の合意がしきりに報道されていることなどを受けて、何等かの合意が得られるという期待がすでに織り込まれはじめているようです。

したがって、市場期待に反して合意なき離脱が決定してしまった場合、相当な失望売りがでてきそうで逆にリスクの高い状況が示現しそうです。

冷静に考えてみますと、BREXITの国民投票実施からすでに4年4か月を経過していて、この期間を使っても満足に合意ができていないわけで、残りの2週間かそこいらですべてが決着し円満に英国がEUから離脱するということはほとんど期待できないのが実情です。

もめにもめたこの交渉が最後までまとまりのないものになってしまっている点については英国政府の責任がかなり重く感じられますが、どうやら理解できない英国流のごねまくる交渉術というのは伝統的に存在しているようで非常にわかりにくいものを感じます。

それでも英国民は一定の支持をしていくことになりそうです。

いずれにしてもポンドとユーロは年末にむけて一波乱ありそうで、ここからもその状況に十分に注意しながら取引することが必要です。