相場は米国大統領選挙一色ですが、その一方で欧州の新型コロナ感染が猛烈に拡大しており、さすがに地続きということもあってフランスやスペインで劇的に感染者が増えればドイツや東欧諸国にも広がり、一時はもう二度と行わないとされていたロックダウン、事実上の経済封鎖以外には感染を止める手立てがなくなってしまっているようで非常事態で外出禁止や小売店、飲食店の閉鎖等は欧州全土に広がりをみせています。

クリスマスシーズンは誰が何と言っても日本の正月のように家族が集まる時期ですから、なんとしてもその前に感染の拡大を鎮圧したい意向もあってこの時期から一か月近くほぼロックダウンを実施する国が殆どとなっており、景気の大幅減速はもはや避けられないところに来ているようです。

英国のEU離脱交渉もすっかりかすんでしまいこちらも大きな問題で、もはや力が入るわけもなく結局合意なき離脱に到達してしまうリスクも非常に高まっている状況です。

日経新聞が報道したデータによれば、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の10月28日時点の集計データによるとポーランドやチェコ、ハンガリーなど10カ国の入院患者数が10月下旬に過去最多となりました。

ポーランドは1万人を突破し、9月末比で4倍超に膨らんでいるといいますからもはや医療崩壊寸前の状況のようで、これは春先の感染よりもはるかにその規模が大きくなるであろうことが予想されています。

米国も選挙が一息つけばコロナ蔓延が大問題に

米国は大統領選挙一色でコロナの話はあまり顕在化してきませんが、それでも米国ジョンズホプキンス大学の集計では11月2日現在ですでに感染者は920.9万人と莫大な数に上っており、とくに大統領選挙の集会が影響しているのか1日当たりの新規感染が過去最多ペースの8~10万人ということで、欧州のことなど心配している場合ではなくなりつつあります。

恐らく大統領選の投票が終了した時点で、コロナ感染が再度クローズアップされてかなり大きな問題になることは間違いなさそうで、相場を突き動かす大きな材料になりそうです。

日本や東アジアは別世界に見えるのが影響ない?

そんな中で日本はこの春に流行が強まった中国、台湾、韓国、香港などとともに感染者は大きく拡大しておらず、東アジアは完全に米欧やインドなどと状況が異なってるようにも見受けられます。

この数字だけ見ていますと日本はあまり関係ないという結論に達しそうで、いろいろと調べてみますとフランスにおける検査数は日本の実に34倍とされており、そもそも感染者がしっかりわかるようになっているという大きな違いがわかります。

ただ、それを加味しても死者は東アジアが圧倒体に少ないのは事実で、風邪やインフルエンザとたいして違わないと楽観視する向きが多くなるのも理解できない話ではなくなっています。

その一方でGo To トラベルキャンペーンなどを積極的に実施した挙句、気温が大きく下がりはじめた北海道では中心部で感染経路のまったくわからない罹患者が激増しはじめており、やはり日本は欧米とは違うという過信が必ずしも正しくないことを示唆しはじめています。

今のところ日経平均も米株の下落には連動せずもっとも下がらない相場になっていますが、本当に11月12月と独自の堅調な相場展開になるのかどうかが大きな注目点になりそうです。

とくに感染が蔓延して結局都市封鎖を実施しなくてはならない状況に陥れば、年末のクリスマスから年始まで全滅になる可能性もあり、株はまたしても大暴落、為替はリスクオフでドル円はドル高になるのか円高になるのかを見極めなくてはならない時間帯が早晩訪れそうで、もはや米国大統領選挙だけに気をとられている場合ではなくなってきているようです。

新型コロナ感染に関してはすっかり国内でも国民に飽きと疲れがではじめており、あまり大きな問題として認識されなくなっていますが、金融市場に大きな影響がでるのはまだこれからで、決して目をそらすわけにはいかない時間帯に入っていることを強く感じさせられます。