7月13日に発表された米国の6月分CPIは前月比+1.3%、前年同月比+9.1%となり、それぞれ前月5月分の同+1.1%、同+8.6%を上回るという凄まじい結果となりました。
もともとこの手の指標は完全に遅行指標で、単月で上下動することに一喜一憂すべきものではないと思われますが、それでも実に40年ぶりに完全にインフレ状態を示現したということで、バイデン政権のインフレ対策が全く効果を上げておらず支持率も下がっているという非常に危機的な状況に陥っていることが見え始めています。

さすがにこの状況では中間選挙までになんとかインフレ対策を実現して支持率を回復させるのはもはや無理と考えたのか、ここへきてバイデンは次の中間選挙でトランプ攻撃を主軸において、個別政策の可否の問題ではなくトランプ政権がいいのかバイデン政権がいいのかという信認投票を中間選挙に持ち込もうとしています。
したがってここのところトランプ攻撃はすさまじいものがあり、2021年1月6日米国国会議事堂において、次期大統領を正式に決める両院本会議中に暴徒が侵入したのはトランプが煽ったのが原因であるという形に帰結しようとして躍起になりはじめています。

Photo 時事

FRBは本気でインフレ退治に躍起だがリセッションとの兼ね合いを処理できるのか疑問

バイデン政権からきつくインフレ退治を命じられた影のFRB議長ことブレーナード副議長は、本気で利上げを急ぐことでインフレ退治しようとしており、市場が期待するように7月は大幅利上げでも9月で一旦終了というやさしい政策を取らない可能性が高まっています。
すでに7月のFOMCでは100ベーシスポイント利上げが実施されるのではないかといった観測も高まっており、インフレ対策といってもこの調子で利上げを継続断行した場合、株式市場に大きなダメージを与えて中間選挙前に大暴落、リセッション入りしてしまう可能性も高まりつつあります。

FRB起因で相場暴落ということになればもう目も当てられない状況となり、なんとかするために必死に考えることになると思われますが、考えたからいい結果がでるとは限らないのが中銀政策で、大失敗に陥ることも十分にありうることをあらかじめ意識しておく必要がありそうです。

米系アナリストの楽観シナリオもここへ来て相当懐疑的な状況に

そんな中で一部の米系金融機関のアナリストが言い始めているここからのシナリオが、FRBはとりあえず9月で一旦利上げを止めるという予想です。
恐らく7月は75bp以上の利上げになると思われますが、その後8月後半のジャクソンホールにパウエルが登場し、正式にリセッションに入ったことを認めると予測しています。

利上げの停止は9月になったとしても、FRBがリセッションを正式に認めることで株式相場の下落は止められ、年明け以降に利下げなりQE5を実施することで少なくとも相場には劇的な影響は免れることになるであろうというのがこのシナリオの根幹となっています。
しかし闇雲に利上げを一旦中止してしまうと結局インフレ退治もできず、そこから再度緩和にシフトした場合市場に激しい影響がでることも当然に考えられるだけに、このような楽観論だけで相場を予測していいものなのかは相当悩むところでもあります。

とにかく市場は何かあれば必ずFRBが助けてくれるといった甘い考えが払拭できておらず、勝手に都合のいいシナリオを繰り出しがちですが、実際のところインフレ対策とリセッション対策というのは矛盾しているものであり、両方ともに機能させるというのは至難の技であることは意識しておかなくてはなりません。

ここから11月の中間選挙まではまったく想定外の事態が発生することもあり、個人投資家としてもかなり警戒しながらトレードをしなくてはならないでしょう。