3月、本邦企業は年度末を迎えいよいよ4月相場がスタートすることになりますが、当初3月までには大勢が判明すると思われていた大きな政治イベントが何一つかたずかないままに新年度入りしようしようとしており、相場の動きも膠着する時間帯が長くなりつつあります。
ひとつは英国のBREXIT問題ですが、こちらはもはや政治的な駆け引きレベルになり下がってしまい為替相場はエントリーしてみてもニュースのヘッドラインで投げと踏みの応酬が延々と続くだけで取引妙味はかなり薄れつつあります。

一方もう一つ世界の金融市場に大きな影響を与えてきた米中の貿易問題はとうとう3月までに首脳会談開催にこぎつけることができず4月末の開催を目指しつつも、中国サイドからはさらに後ずれして6月開催の可能性も飛び出しており市場の楽観的な期待とは裏腹の展開が継続中です。
この米中貿易交渉の停滞は確実に米株の状況にも影響を与えそうで、今後の推移が非常に注目されるところです。

継続協議は進行中なるも合意されない部分は確実に存在か

ホワイトハウスは3月28,29日にライトハイザー、ムニューシンの両重要閣僚が北京入りするのをはじめ、翌週の4月3日からはワシントンに場所を変えて引き続き集中議論を行う予定で、米国サイドとしては4月末の合意に向けて交渉を先に進める意向を示しています。

米国が中国に対して要求しているのはクラウドサービス企業に対する差別待遇の改善、データの保管や移転規制緩和についてとみられていますが、この領域に関して中国側はまったく譲歩する姿勢を見せていないことから、交渉がかなり難航していることをうかがわせる状況になっています。
ライトハイザーURST代表は単なる貿易赤字の改善のみならずこうした構造的な問題が解決しないかぎり合意はあり得ないとかなり強気を維持しており、トランプ大統領の姿勢とも異なるものがあることから、ある程度の合意で米中首脳会談が実施されることになるのかどうかは不透明な状況です。

一方中国は次の習近平の訪米によ米中首脳会談では米国が国賓として迎えるように要求しているともいわれており、2月にベトナムで開催された米朝首脳会談のように土壇場で梯子を外されてメンツ丸つぶれにならないように相当様々な根回しをしていることが窺われます。中国共産党政権に近い香港メディアはすでに米中首脳会談は6月開催の可能性を報じており、こうした様々な情勢を加味した場合6月以降の開催は現実的な見通しにも見えてきます。そもそも本当に合意に至るのかという疑問もちらつき始めているのが現状です。

ここから米株は簡単に上昇する地合いではなく為替にも影響

4月以降いよいよ米国企業の決算がスタートすることになりますが、2018年に関しては米中の貿易問題の影響がそのまま決算に悪影響を及ぼす可能性がかなり高まっており、広範なセクターで予想を下回る悪い決算が続出するリスクがあります。
昨年末からの米株相場の上昇はムニューシンがトランプ名で招集したPPT・株価暴落防止チームの貢献度が大きかったようで一定以上の上昇という成果がでていますが、ここからは米中交渉が決着を見ないかぎり大きく上げることは期待できないところに差し掛かってきています。市場ではヘッジファンドなどの投機筋がほとんど買いを入れていない中で企業の自社株買いだけが株価の上昇を支えているのが実情であり、それが一旦止まるようなっことになれば株式市場は再下落となる危険性も高まり、相関性の強いドル円も再度下値を試すことを視野に入れる必要がありそうです。本邦サイドは新年度ということで金融市場には新たな資金が投入されることになりますが、米株のほうは簡単に上値を更新していくような相場にはならない展開を十分に意識しておくことが重要になりそうです。