国慶節を経ていよいよ10月10日から米中の次官級の会合が開始されます。本格的な閣僚会合を前にした地ならしの会合という見方が強まっていますが、こうした会合が開催されるたびに相場はアルゴリズムが扇動するのかなぜか楽観的な見方な台頭しては実際の会合結果を受けて大きく下落するという繰り返しを行っている感があります。トランプも来年の選挙を控えてあまり中国とのバトルを引きずりたくないのではないかという見方が早期合意の可能性をいつも口にすることになるわけですが、トランプ政権が本当にそんなことを考えているのかという点に関してはかなり懐疑的な見方も広がっており、過剰な早期解決期待は逆に禁物な状況が強まりつつあります。
民主党政権と同じやり口ではトランプは選挙には勝てない
トランプ政権がとにかく簡単に中国と合意を取り付けてしまうというやり方はある意味で過去のクリントンやオバマのやり口と同じになってしまうことから、ナヴァロが政権の中にいるかぎりはそう簡単には起きない事象であるという見方は最近かなり強くなってきています。このことはトランプが一番よく理解しているはずで、市場が早期の解決の可能性を期待しているのとは逆にトランプは延々と対中国闘争を繰り広げる可能性が高まってきているといえます。とくに議会は民主・共和党を問わず対中国強硬姿勢というものがかなり確立していますから、トランプ政権がさらに4年延命してもしなくてもこの動きは継続することはほぼ間違いなさそうな状況になってきていることがわかります。
また中国政府はトランプがとにかく政権からいなくなるのをじっくり待つことを念頭に置いて交渉している気配がかなり強く、一時的には市場に耳障りのいい発言をしても結局のところのらりくらりと交渉を交わす戦術を延々と続けそうな気配で、相場の期待とは裏腹な状況にあります。
最後は関税から数量制限を経て為替の問題に
これまでも米国政府は貿易問題をまず関税で処理するというオペレーションを数多く行ってきていますが、結果として貿易赤字が解消することは一度もありませんでした。数量制限も同様で最後は為替の水準問題を持ち出してくることはほぼ間違いない状況といわれます。実際この秋からの対中国の交渉でも中国側はとうとう人民銀行の関係者が同席するとも言われており、為替問題が大きくクローズアップされることになるのは時間の問題とも見られ始めているわけです。
10月以降の追加関税の実施はかなりトランプの感情的な発言からエスカレートした感もありますが、こちらも会談で簡単に取り下げられるとみるのはいささか拙速な感があり、予定通り実施されてりまうリスクは依然として相当たかい状況のようです。果たして米中で為替の問題に焦点が集中したときに中国が1985年のプラザ合意のようなドル安を容認しそれをサポートするような動きにでるのかどうかは全くわかりませんが、長期的視点から見れば人民元高がマイナスになることはないものでもあるだけに政治的にその為替水準を決着させるように動くのかどうかにも注目が集まりそうです。
年末に向けて米株にも影響は出そうだが一定のリスクを政権は織り込み済みか
こうなると米株にもかなりマイナスの影響がでることが心配されており、トランプ政権としては株の暴落まで引き起こしながら中国ともめることはないといった見方もではじめていますが、実はこれもかなり間違っている可能性がありまだ13か月近く残っている大統領選ですからこのタイミングで株式相場が崩れてもやむなしとトランプが考えている可能性はかなり高そうです。むしろFRBが相場の暴落を大義名分として次なるQEを実施することになれば来年の株価の上昇は盤石なものになるわけですから単純にトランプが株の大幅下落を恐れていると解釈するのには無理があるのかもしれません。
いずれにしても米中協議がはじまると常に楽観論が飛び交うマーケットですが結果は毎回逆に落胆の内容となることが多いだけにこの10月の相場でも相当注意が必要になってきているといえます。