重要な経済指標や中央銀行の政策決定会合をこなし、為替相場は動意づく材料がかなり限らた展開になろうとしています。

そんな中でも、米中の通商協議に関する第一フェーズの合意の行方については、関連報道が出るたびにアルゴリズムが過剰に働いて動くことから、かなり神経質な展開が続いています。

米株市場の反応はさほどでもないのにかかわらず、ドル円だけはとにかく過剰に反応するため、週明けの一週間は特に大きな指標の発表がないだけに、米中協議の進展が非常に相場のボラティリティを発生させる大きな要因として、継続的に機能しそうな状況になっています。

一旦下押ししたもののまた戻してドル円は上値試しの可能性

ドル円4時間足

ドル円は8日NYタイムに、一旦109.500円をトライする動きとなりましたが、109.500にはノックアウトオプションがあり、しかもかなりの大きさであったことから、まったくつけることなく一旦下落を余儀なくされました。

その後は109円に戻る瞬間もありましたが、上昇の勢いは弱く、逆に米中通商協議がうまくいっていないといったメディア報道のヘッドラインに、アルゴリズムが反応し下押しの展開となります。

15日の早朝NYタイムには、FRBパウエル議長の発言と米中協議不調の続報を伴って、108.200円台まで押し込まれる展開となりました。

しかしこのレベルでは、かなり買いがしっかりと入っており、逆に下値の堅さを確認する形で、15日の東京タイムからロンドンタイムに向けて値を戻す展開となり、NYタイムにはダウが大幅に上昇する動きとなったことから、108.800円台まで回復して週の相場を終えています。

ドルと円の相関性が高まり大きく動かない展開へ

足元では、米ドルと円との相関性が60%を超えるようになっており、ドル安は円安になりやすく、ドル高は円高になりやすいことから、結果的にドル円はまったく大きく動かないという時間が非常に長くなりつつあります。

現状では先週末に向けて、ドル円は上昇に転じましたが、他のドルストレートではドル安が進んでおり、ドル円だけが特別な動きをし始めていることがわかります。

これはクロス円が、円安に進んでいることも大きな要因になっているようですが、いずれにしてもドル円だけがここから109円台をどんどん上伸していくかどうかはかなり微妙な状況です。

また109.500円、さらに110円ちょうどには、かなり大きなノータッチオプションが控えており、保有者が相当な防戦売りをしてきているようです。

仮に109.500円を超えても、その上を目指すのは当分難しそうに見え、109円台は戻り売りの場所を探す動きになりそうな一週間です。

相場が大きく動くとすれば、やはり米中の通商協議の具体的調印が決定し、調印日が見えてきたというオフィシャルな報道がでたとなりそうです。

これが月内に決まるのか、来月以降になるのかはまったくわからないことから、これらがはっきりするまでは、相当注意深い取引が必要になります。

安易に巻き込まれないためにも、ストップロスをしっかり置いて、大きな損失を食らわない準備が必要です。

ユーロドルは底堅いもののファンダメンタルズ的には弱い存在

ユーロドル1時間足

一方ユーロドルは先週ほぼ一か月ぶりで、1.0989レベルまで下押しをする展開となりましたが、そこからさらに下落する動きにはならず、1.10へ戻して週の取引を終えています。

米国は11月14日までに、対EUの自動車関税を引き上げるかどうかを決定するとしていましたが、今のところ判断は下っておらず、また先延ばしの可能性もでています。

ただしトランプがツイッターで急に、実施を宣言でもしようものなら、いきなりリスクオフになる危険性は十分に残っており、こちらもニュースのヘッドラインに注意が必要になりそうです。

足元では、米国下院のトランプ弾劾に関するヒアリングが実施されていますが、こちらの件は想像以上にトランプを弱らせているようで、関税どころではない状況なのかもしれません。

28日から感謝祭で実質1週間の勝負

考えてみますと11月も残すところあと2週間で、米国は28日が感謝際ですから、最終週は前半以外使いものにならない時間を迎えることになります。

つまりここ7営業日位が、今月まともに稼働する日ということになりますので、短時間で完結度の高い取引を心掛けることが必要になりそうです。

上述のように弾劾のヒアリングがらみで、トランプ陣営は一発逆転で目先のポイントを大きく変えさせる必要があることから、対中国との第一フェーズの合意を早めに踏み切る可能性も11月中にその動きが表面化すれば、相場は一時的にせよドル高方向にさらに進むことも考えられます。

ここからはまさに、ニュースヘッドライン次第の展開になることが予想されます。