米国雇用統計の結果が予想外によかったことから跳ね上げたドル円相場でしたが、その後は米国要人からトランプが米中協議をサインする準備が整っていないなどといった発言が飛び出し、このまま15日に対中追加関税が発動されてしまうリスクが高まり、相場は下がりで週の取引を終えています。

月初に109.728円まで買い上がったドル円は、テクニカル的にはさらに上を目指しそうな気配が高まったものの、結果的には110円を試すこともできないまま下落し、すでに109円台にも戻ることができない状況です。

ここから上に再上昇するためには、よほどプラスに働く材料がでてこないと難しそうなところにさしかかってきています。

12月に入っての週末金曜日のNY市場は、すでにかなりの参加者が減っています。

閑散とした相場であったことを窺わせており、週明けからの一週間も流動性の低い相場が続きそうです。

ドル円4時間足推移

9日から13日まではイベントも豊富ではありますが、米国FOMCは現状維持ということで大きな動きは予想されていません。

12日の英国議会選挙も保守党が優勢となっていることから、よほどのサプライズが結果に出ない限り、相場はすでに織り込んだ状態が続くことになりそうです。

やはり最大のポイントは、米中通商協議が物別れに終わり、予定どおり追加関税が発動されてしまうのかどうかの一点に集中してしまいそうな状況になってきています。

決着するのかどうかまったくわからない状況

先週米国側は悲観的な見通しを出して、その一方で交渉は順調に進展しているといった情報も出してきており、実態がどうなっているのかはほとんどよくわからないところに来ています。

トランプ大統領が2020年の大統領選後に延期すべきではないかといった発言を繰り出していることから、簡単には決着しない可能性も高まりつつあります。

現実的な状況としては、米国側はこの追加関税の実施で大きな経済的なダメージとまだ受けていない反面、中国側はすでにその影響がはっきり景気に出始めているというコントラストがあり、実態経済への影響から考えると、中国側のほうがはるかに追加関税の実施の見送りを切望していることがわかります。

Data Bloomberg

したがってトランプとしては、別に決して慌てる必要も感じていないことは事実のようで、株を無闇に下げさせないためにマーケットに心地よい発言はするものの、15日の追加関税実施を避けるつもりはないことも十分に考えられます。

ただ、いつものやり方でぎりぎりのところで回避し延期して見せることもまだ考えられるだけに、まさに相場はその状況次第で、上にも下にもいきそうなところにさしかかってきています。

少なくとも13日の金曜日までには、なんらかの重大な示唆があるものと考えられます。

それまでは相変わらずニュースヘッドライン次第で、相場が大きく変動することに注意が必要になりそうです。

米株は完全にシーズナルサイクルに沿って上昇しそうな雰囲気

米株は月初に一旦大きな押しをつくりましたが、その後は回復傾向にあるようで、取引ボリュームは減少するものの、ここから年末クリスマスに向けては再度じり高になりそうです。

これは過去20年のシーズナルサイクルにかなり近い印象で、昨年とは違い大きく崩れることは米中の問題がよほどこじれない限りは回避できそうです。

S&P500過去20年のシーズナルサイクル EquityClock.com
円の過去20年のシーズナルサイクル

ドル円は12月後半にかけて過去20年円安が進むことがわかっており、米中協議次第でシーズナルサイクルと同じような動きになることが期待できるところです。

結局は、米中協議がどのような結末になるのかを見極めるところから始めるしかなさそうな状況です。

いずれにしても、市場参加者は間違いなく減少していることから流動性は一段と乏しくなりそうで、米中問題の行方が明確になるまでは、静観しておくというのも一つの方法になりそうです。

この時期に無理な取引は禁物です。
当面様子を見ながら、エントリーするかをしっかり判断したいところです。