イラン革命防衛隊の司令官が米国のドローン攻撃により、殺害されてから3日ほど喪に服す時間帯が経過しましたが、その明けの日本時間8日の未明、案の定イランがイラクにある米軍基地をロケット弾と思われるもので攻撃したことから、東京タイムはリスクオフ一色となり、株も為替も大幅に下げる展開になりました。
しかしドル円は107.50円が近づくあたりでは、本邦の機関投資家をはじめとする買い向かいの向きのオーダーのぶち当たる形で大きく下げる展開にはならず、朝からの下げを全値戻しするといった動きとなり、一方的に売りにはならないなかなか難しい展開が続いています。
実際問題このまま散発的な攻撃だけで、本格的な戦争状態に陥らないのか、はたまた巧みなテロの継続で市場に頻繁なリスクオフとなる危機的な相場になるのかが予想のわかれるところですが、こうした戦時相場の中でどのようにトレードをすべきなのかを考えてみたいと思います。
攻撃があれば確実に動くニュースヘッドライン連動アルゴリズム
国内でFXが流行したのは2003年位からです。
本邦の個人投資家は、主要国が戦争に巻き込まれるような事態でFX取引をした経験はなく、2011年の9.11の時に為替相場がどうなったのかを知る方はほぼ皆無の状況です。
最近では世界的にミレニアム世代が相場に関わっていますが、彼らは2008年のリーマンショックのことすらよく知らないわけですから、本当にイランと米国の深刻な戦闘状態に陥ったり、イスラエルなどの周辺国がその戦闘に関わるようなことになると話はややこしいことになり、どういう形で収束していくのかの落としどころも見えないまま混乱の時間がかなり長く続くことが懸念されるところです。
ただ為替相場では、ニュースのヘッドラインと連動して動くアルゴリズムが、いち早く相場を先導していることは事実で、イランからにせよ米国からにせよ攻撃のニュースが出れば、即座にリスクオフの市場となっています。
その一方でドル円に関して言えば、107円台中盤から下は実需と機関投資家がしっかりと買い向かう動きをみせており、そう簡単には相場がくずれて下落方向に走らないという微妙な状況が続いています。
ここ数日を見ますと、東京タイムで相場が崩れてもロンドン市場以降はもとに戻るケースが多く、特にNYタイムでは株価が大崩れしないこともあって、ドル円は逆に大きなショートカバーを出して上昇することが多くなっている状況です。
こうなるととにかくどこでも売り相場と認識するのはかなり難しく、相場にあわせた売買が必要になることを感じます。
当面大きな戻りは売りだが突っ込み売りは禁物が基本姿勢できめ細かく対応
先のことは全くわかりませんが、イラン側が多角的な攻撃に出てきて米国と交戦状態に陥るような雰囲気はまだ見られていません。
とりあえず報復と思われ、単発的なイラン側からの攻撃があったことは事実のようですが、米国側が人的犠牲がなかったとする一方で、イラク側はそれなりの犠牲者がでていることを自国のメディアが伝えている状況で、何が本当なのかはよくわからないところに来てしまっています。
もちろん現状ですべてが収束したわけではありませんから、ドル円の場合は基本戻り売りを基調とすべきですし、特に東京タイムがイランの深夜早朝にあたることから、何か事態に変化が起こりやすいため売り持ちをしておくことが利益につながりそうではあります。
一定の下落があってそれ以上下がらないとなると、早いタイミングで大きなショートカバーがでて、迂闊な下値レベルでの突っ込み売りは間違いなく、担ぎ上げられる危険性があることを認識しておく必要がありそうです。
この先、決定的な両国の戦闘があった場合には、さらに相場が下抜けするリスクは高まりますが、それも断定することがないように気をつけなくてはならない状況のようです。
とにかく長い時間相場の中に滞在するよりも、どんどん利確して次の展開に備えるといった機敏な姿勢が求められそうで、日ごろの相場に比べれば確実にボラティリティのある状況ではありますが、迂闊にエントリーすることや方向性を断定してエントリーすることだけは避けて通る必要がありそうです。
またこうした相場状況では、ロングで買い向かうときもしっかりストップロスを置くなり、トレーリングストップを設定するなりして、突然センチメントが変わることに巻き込まれて大きな損失を食らわない万全の構えが必要になりそうです。
果たしてこのリスキーな相場がいつまで続くのかはイランと米国次第ですが、少なくとも1月いっぱいは油断せずにトレードしていくことが求められそうです。