1月第3週、ドル円は昨年後半から何度も止められてきた109.700円レベルを突破し、久々に110円台に乗せてその後も下落することなく週の取引を終えました。
こうなるとテクニカル的にはさらに上値を試すことが期待されるところですが、ファンタメンタルズ的に見ますと、米株が異常な上昇を継続していることが強いサポート要因とはなっているものの、それ以外は米中の通商交渉も第一フェースが決着し第二フェーズの交渉がすんなりスタートするかどうかはよくわからないところにあることや中東情勢も一旦沈静化したもののこの先本当に何も起こらないかはよくわからない状況が続いているだけにシーズナルサイクル以外にはドル円が大きく買いあがるための材料も乏しく、111円台を目指すことができるのかどうかが大きな注目点となりそうな状況です。
下値も堅いが上値も重いドル円
テクニカルアナリストの発想では確かにドル円は4時間足を見ても上昇局面の中の一時的な調整時間帯に差し掛かっているだけでさらに上を目指しそうにも見えますが、先週の相場の動きを見ますと下値も堅いが上値も相当重くなっている状況でここからさらに大きく上昇できるのかどうかはかなり微妙な状況になってきています。
しかし大きく下落するようにもみえず、当面は横展開でレンジ相場の上昇局面を継続する可能性も考えておく必要がありそうです。
24日からは中国が旧正月に入りますから、さらに市場参加者は減りそうで大きなイベントを消化して当分ドル円は次なる材料待ちの状況に突入してしまいそうです。
イランの革命防衛軍司令官の米国によるいきなりの暗殺以降、報復措置報道から一旦107円台まで下落したドル円ですが、すでに2.7円近く上昇していますので、調整を迎えることも視野に入れてあまり高いところで買いあがらない工夫が必要になりそうです。
いきなりリスクオン相場の賞味期限切れが発生するような状況に陥ることには注意が必要です。
さらに日本株は米株につられる形で上昇してきていますが、どうも日経平均は2万4000円を超えるとそこから大きくは上伸できない状況が続いており、こちらも一旦調整する可能性がありそうで、ドル円がそれに引きずられる形で下落することも想定する必要がありそうです。
ひとつ気になるのが原油先物の動きで、これまでドル円はかなりWTIの原油先物価格と相関性の高い動きをしてきたことで知られていますが、イランの問題で一旦上昇したWTI価格はここへきて大きく下落しており、ドル円がその動きとまったく連動していないことが気になるところです。
中央銀行バブル相場の継続過程では多くの市場の相関性、逆相関性が崩れてしまっているので、もはやWTI原油先物とドル円は関係ないと言ってしまえばそれまでですが、ここから相関性が戻った場合にはドル円は一旦下方向に沈みこむことも十分に考えられ注意が必要となりそうです。
ユーロドルは依然狭い値幅のレンジ継続か
一方、ユーロドルの方は年初のイランと米国の一件で一旦ドル買いが進む局面がありましたが、これも収束したことから先週は若干ユーロ高方向に動いたももの週末に向けてまた下落して、方向感のない動きを継続中です。
現状ではファンダメンタルズ的にはドイツの景気の落ち込みが一段落しているもののECBの新総裁ラガルド氏がここからどのような政策を打ち出すかを市場が待っている気配も濃厚で、当分レンジ相場での推移が予想されるところです。
金利差から見ますと以前ドルに金利が残っていることからマイナス金利のユーロとのコントラスト上はどうしてもドルが買われやすくなるだけに大きな動きは期待できない状況です。
年初の地政学リスクの発生時点ではそれなりのボラティリティが出た為替相場ですが、一息ついて材料出尽くしになるとまたしても動意の限られた状況に逆戻りで、どの通貨ペアで売買するのかについては真剣に検討しなおさなくてはならない時期に差し掛かっているようにも見える状況です。
引き続き利益を出すには難しい相場が続きそうです。