米国株式相場は欧州圏での新型ウイルスによる肺炎の発症が明らかになってから突然下がりだし、直近でもNY州で感染者が発見されたという報道からNYダウでも460ドル戻してはマイナス123ドルまで下落するといった値動きを連日継続中です。

Data Tradingview

すでに今月NYダウは最高値の29500ドルから2500ドルの下落する形となっており、FRBの継続した隠れQEによる緩和から相場の上昇を狙っていたヘッジファンド勢にも大きな打撃を与える結果となっています。

10%程度の下落は調整相場ということになりますが、まだこの問題は解決していないことからトランプ政権やFRBが追加の措置を打ち出すためには、最大20%近い下落が現実にならないとなかなか難しそうなにもなってきています。

ただそこまで猶予がないのが投機筋の現実で、ここからの下げにはそれに伴う相応の投げがでて、一層の下落を助長しかねない状況が待ち構えているようです。

ファンドの資金投資比率は94%

ここで一つ気になるのが、相場の暴落で求められる追証の問題からさらに投げがでている状況です。

ヘッジファンド勢はすでに手持ち資金の94%程度にレバレッジをかけることで米株を中心とする相場に投資しているようで、ここから下げが厳しくなれば当然持ちこたえられずに投げや換金売りをしてくることが想像されているようです。

直近の相場で金に売りが出ていることなどもこうした状況に関連している可能性は高そうで、相場の暴落が引き起こす第二の下落が起こることに注意したいところです。

このような売りの場合には利益が出ている玉から処分することもありえるだけに、だいたいすべての相場に売りがでる、いわゆる全部売りになることが多いのが一つの特徴といえます。

直近でビットコインが売り込まれたりする状況も、実はこうしたファンド勢の事情が絡んでいる可能性はかなり高そうです。

またリスクパリティ戦略をとって、国際分散投資を進めるファンド勢の場合にはクォンツがその相場を管理していますから一定の下げがでれば迷いなく損切をしてくることが考えられ、こちらも相場の大幅下落局面ではマイナスに働く存在となりそうです。

ドル円は完全に米株と連動する状況に

肝心の為替相場ではドル円が米国債の金利の推移にも多少の影響を受けるものの、米株の下落に非常に大きく連動するようになってきています。

現状では株の下落の割にはドル円の水準はかなり高く保たれており、本来ならば105円レベルになってもおかしくない中でかなり高い位置を維持していることが気になりますが、やはりドルに対する需要が非常に強く、とくに本邦の機関投資家などがドル円を下値で相当な額を買い支えていることがその崩れを押しとどめているようです。

2月の相場終了時に果たしてドル円が4年も続いた三角持ち合いの中で、その価格を終了するのか完全に上抜けたところで終わるのか月足の終値が非常に気になるところです。

仮に上抜けして終わったとしても114円を超えるほどの勢いがここから出ることになるのかどうかには疑問が残るようです。

むしろ株価のさらなる下落に下押しを余儀なくされることも想定しながら上下両方向の可能性を探っていく相場になりそうです。

これまで多くのトレーダーが経験したことのないような相場が新型肺炎で繰り広げられつつありますが、さらにここから未経験の領域に入り込もうとしているだけに相場が3月、4月に向けて展開されそうな状況になってきました。