4月第二週の為替相場は、とうとう152円台を突破しおよそ34年ぶりの円安水準を記録しました。

米国の月次CPIが市場の事前予想を上回り、6月のFOMCで利下げが実施される可能性が低くなったことが要因とみられ、これにより米債金利は上昇し、米株は幅に下落しました。

以前より神田財務官は、介入を示唆する発言を行っていましたが、10日には日米首脳会談が予定されていたため、介入するはずがないと見た海外の投機筋が、一斉にドル円を買い上げたものと思われます。

先週ドル円は、153円台も突破し週の取引を終えていますが、週明けは更なる上値を試す局面での実弾介入が警戒されています。

 

2020年には、月曜朝のオセアニアタイムに介入が実施されているため、タイミングは全く予測不能です。

多くの投資家たち153円突破時点での介入もが入るとの予想も裏切られる結果となりました。

このまま介入がなければ、154円突破もほぼ間違いなく、月末には155円を試す可能性さえあります。

現時点では、相場に2020年ほどの過熱感はないため、介入を躊躇したまま上昇するのではないかとの見方が強まっています。

ただ一つはっきりしていることは、円買い介入には膨大な費用がかかるため、失敗は絶対に許されないということです。

財務省は、確実に成功するタイミングを見計らって介入に踏み切ることは間違いないため、介入が実施されれば、5円以上下落することが予想されます。

仮に153円台中盤で介入が実施された場合は、148円レベルまで下落することになるため、ロングポジションはオペレーション終了が確定するまで保有せず、値ごろ感から買いに向かうことだけは絶対に避けるべき状況と言えます。

 

先週一週間のドル円相場 

イランによるイスラエル報復攻撃間近との報道でドル円は一時的に下落

一方で市場には、イランによるイスラエル報復攻撃間近という、ドル円下落の材料となるテーマも出始めています。

金曜日はニューヨークタイムの開始前に、このヘッドラインが踊ったことにより、ドルは大きく売られ、ドル円は一時152円台中盤まで下押しする展開となりました。

イランが本格参戦した場合、中東のアラブ諸国も追随する可能性は高く、中でもBRICSプラスで連携を強めるサウジアラビアやUAEなどが参戦すれば、地上戦のみならず石油の輸出でもダメージを受ける可能性があります。

イランがホルムズ海峡を閉鎖することになれば、最も大きな影響を受けるのが日本であるため、日銀も呑気に緩和的な環境下での利上げを目指している場合ではなくなりそうな状況です。

 

Photo Reuters

 

金曜の報道によるドル円の下落は一過性のものでしたが、週明けにも情勢が悪化すれば、財務省が介入を実施する前にドル円は150円方向に下落する可能性があります。

こちらのテーマは、一発のヘッドラインだけに踊らされるような単純な話ではないため、ひとたびリスクオフ相場となれば、ドル円も大幅に下落することが予想されます。

ここからは、異なる材料によるリスクオフ相場が展開することになるため、十分な警戒が必要になりそうです。

ECBによる利下げが始まれば、ユーロドルは常態的に弱含む可能性

ECBが6月の利下げへの道筋を固めたため、ユーロドルはここからしばらくユーロ安が続くものと思われます。

米欧における金融当局の政策決定は、コントラストが強く、ユーロドルはユーロ安になりやすい状況にあります。

ユーロドルは、3月8日に記録した1.0982をトップに反落に転じ、先週は約5か月ぶりの安値となる1.0623まで急落しており、状況次第では1.05レベルまで値を下げる可能性もあるため、戻り売りを基本にトレードしていくことが重要になりそうです。

米国の金融市場は、中東の戦争リスクをしっかりと織り込んでいないため、突如想定外の急落が発生することも考えられます。

ドル円がリスクオフから大きく値を下げた場合、またしても介入は先延ばしになるため、財務省と市場の神経戦は今後も続くことが予想されます。