4月最終週、為替相場はどの通貨ペアもボラティリティを失うこととなり、その動きはかなり緩慢でなかなか積極的な取引きができにくい状況に陥り始めています。

週明けからは5月相場となりますが本邦は3連休でもあることからさらに流動性の低下する時間帯が生まれる可能性があり十分な注意が必要になりそうです。

ドルストレート間の相場の整合性も失われた状態

ドルは債券金利の上昇が顕著になりつつあるにも関わらず、ユーロドル等はユーロ高が顕著な状況でドル円以外のドルストレートは全般的にドル高とはならない不思議な状況が継続中です。

ただしドル円はご案内のようにすでに109円中盤にさしかかり110円を目指しかねないところにきており、ドル通貨ペア間でもほとんど整合性のない状況が続いています。

これには様々な理由が絡んでいるものと思われますが、市場参加者の心理がバラバラでドル高を作り出すことができないままにクロス円で円安を進めているためにドル円だけはドル高円安とほかのドルストレート通貨ペアとは異なる動きを示現してしまっていることがわかります。

ドル安でかつ円安という状況はドル円にとっては方向感を見定めるのにはなかなか難しい時間帯ですが、株価が安定している限りはもう少しドル円が上昇する可能性がありそうです。

ドル円は当面110円方向へじり高か

こうしたことからドル円は当面110円方向に向かってじり高になることが想定されますが、一方的に上昇しない可能性も十分にあり今年のゴールデンウイークではドル安によるフラッシュクラッシュは起きにくいとは思われますが、107.500円を割れ始めると状況はかなり変化しそうに見えます。

ただ、上値にはそれなりの本邦輸出勢の売りのリーブオーダーも並んでいますので、この連休中に110円を超えるかどうかはかなり悩ましいものがあり、上昇しても長い時間維持できるかどうかがポイントになりそうです。

シーズナルサイクルでみますと昨年大きな上下動を伴った年を含めた過去20年の平均的な動きをみてもドル円はここからは5月の月初に円安を辞典しても必ずしもその動きは継続せず、逆にその後、夏までは上下動を伴いながら上昇する傾向が強くなりますので、今年だけ珍しい動きをするのかどうかにも注目が集まります。

為替相場は毎年異なる動きをしているように見えますが、長期間の視点で見ていますと一定の循環を繰り返していることが多く、今年がどれだけ過去20年の動きと乖離しているかをチェックしていくことが重要になりそうです。

Data EquityClock.com 2020年からの過去20年間平均のサイクル

ユーロドルもこのまま上昇できるかに注目

このシーズナルサイクルで見た場合、ユーロドルも足もとでは絶好調で年初来高値を抜ければテクニカル的には新たな展開になりそうな気配が強まっているものの、5月以降は反転の動きがでるのが特徴で、今年だけは異なる状況になるのかどうかが注目されるところです。

ユーロドル シーズナルチャート 上方向がユーロ高

今年に関しては新型コロナの感染と終息といった問題が相場に絡んできていることは事実ですから一概に過去20年と比較してその通りに動くとはもちろん断定はできませんが、実需の伴う為替市場では一定の動きが毎年出ることだけは間違いなく、確率に賭ける投資としてはこの流れをわかっていて投資するのとテクニカル的にだけ上昇や下落を断定するのは危険といえます。

最終的には個別の通貨ペアのチャートからテクニカル的な裏付けをとることは必須ですが、季節性については意識しておく必要がありそうです。

今年は米株は5月に下落しないのではないかといった見方もではじめていますが、例年通りの動きになる可能性はまだ残されており、株価が為替に与える影響についても常に気にしておく必要がありそうです。

為替相場はいつでも取引きがやさしい時間帯などありませんが足もとの状況はその難しさに一層の拍車がかかってきている状況ですので十分に注意した取引をしたいところです。