Photo Reuters

米財務省は7月2日、ジャネット・イエレン財務長官が6日から中国を訪問すると明らかにしています。
これは先ごろ訪中したブリンケン国務長官に次いで2人目となりますが、果たしてその狙いはどこにあるのでしょうか。

ブリンケン国務長官は一つの中国という見方を米国は依然支持しているなどと述べて、台湾の独立を米国は全く考えていないといった発言を繰り出しましたが、その直後に認知症が凄まじく進んでいるバイデン大統領が習近平を独裁者と呼んだことから米中関係はなんら改善しないままの状態に陥っており、イエレン財務長官は二番手の訪問となることが判っています。
米財務省によるとイエレンは、関係安定化への責任ある対応や懸念事項における対話の深化、世界的な課題に協力して取り組むことの重要性を協議するとしていますが、果たしてこの会談で米中の溝が埋まることになるのかどうか、あるいはさらに深い断絶を引き起こす結果になるのかどうかが注目される状況となってきています。
ブリンケンに続きイエレンが訪中するというのは非常に大きな意味をもつ可能性がでて来ています。

G7主要国の相次ぐ利上げは中国経済の追い落としが狙いと言う見方も

ここのところ日本の日銀を除くG7主要国の中銀は矢継ぎ早に利上げを進めています。
EUも英国もカナダ、豪州、ニュージーランドも完全に足並みを揃えた利上げに踏み切っているのは注目されており、もちろん大義名分は各国ともにインフレ対策での利上げということですが、その裏では緩和を大幅に巻き戻しすることで中国経済の悪化を米国主導で模索しているという指摘も出てきており、実際主要国の利上げにより中国の経済はかなり鈍化し始めているのが実情です。

日本に関しては唯一緩和を続けることで主要国での資金の流動性を確保する役割を担っているとも言われており、米国からは2024年の大統領選が終わるまでは金利に手をつけないように申し渡されているという凄まじい憶測も飛び交いはじめています。
イエレンの訪中によるハイレベルな経済協議の結果米中関係が多少なりとも改善することになるのであればG7主要国はこれ以上利上げを行わなわず、一定の巻き戻しがでる可能性も高まるだけに今回の協議の行方に大きな関心が集まります。
中央銀行の金融政策はそれぞれ独自に決定されていると見られがちですが、実は先進国が強調して行っているという見方も強まる状況です。

米国としては中国が継続して米債購入をすることも期待している可能性も

米国は足元ではすでに31兆ドルの連邦債務を抱えており、その支払いは新たに国債を発行しては借り換えを行うことしか手立てが無くなっているのが実情です。
バイデン政権下ではごく近い将来にこれが51兆ドルまで拡大するとも見られているため、とにかく米国債を購入してくれる国をしっかり確保することは非常の重要な問題となっています。
イエレン財務長官は春先からたびたび訪中の意向を口にしていますが、その目的の大きな一つとして引き続き中国が米国債を購入してくれることを視野に入れているとも言われており、あながち間違いではなさそうな状況となってきています。

民主党はバイデン以外を大統領候補を立てて立て直しをはかるという見方も

すでにこのコラムではお伝えしていますが、民主党はすでに高齢で明らかに認知症が進んでいるバイデンでは2024年の大統領選挙を戦えないと見ている可能性が高まっています。
もしこれが事実ならばバイデン以外の重量閣僚が訪中することで米中関係の改善に務めようとしているというのはかなり納得の行くもので、外から見ている以上にこの段階で関係改善がはかられる可能性も残されています。
イエレンはバイデン政権の閣僚の中でももっとも温厚な存在ですし、中国との関係改善をはかるのには最適な人材という見方もあるので、期待は高まり、米中の敵対的関係の改善は各国経済の具体的な改善をもたらすことになるだけに相当な注目が集まります。

当然のことながら株や為替にも大きな影響を与えるイエレンの今回の訪中からは目が離せない状況になってきています。
中国もイエレンの訪中にはそれなりの対尾をしていくことになると思われますが、会談の結果なんの成果も得られない状況になるとかなり深い問題が露見することになるのかも知れません。