Photo NXG.NEWS https://www.nxg.news/2020/05/06/coronavirus-casts-deep-chill-over-u-s-china-relations/

新型コロナはまだ感染の完全収束が見えていませんが、米中はすでにコロナを材料にした猛烈な敵対関係を繰り広げはじめており、まずは新型コロナウイルスをめぐる中国の責任追及から米中の関係は最悪のものになろうとしています。

ポストコロナの経済V字回復を諦め対中敵対に集中しはじめたトランプ

米国トランプ大統領は4月の早い段階まで、米国経済の早期再開を口にし大統領選挙までにある程度の景気回復と株価の再上昇を狙うような動きを見せていました。

しかし、米国内失業者の爆発的な増加や景気の先行きのかなりの悪さなどを見て、とても短時間には経済の回復を実現することはできないと判断したのか、ここへ来て新型コロナに対する中国の責任問題を声高に発言しはじめています。

これを受けてトランプ政権の閣僚からも同様の発言がではじめており、嫌中を旗印にすることで選挙戦でのトランプの求心力を高める動きに出始めているような状況となっています。

その中でも新型コロナが、中国の湖北省武漢市のウイルス研究所から発生したというトランプ大統領やポンペオ国務長官の発言は中国をかなりイラつかせているようで、証拠があるなら開示して示せといった反論もではじめており、米中関係は最悪な状況に陥りつつあります。

武漢の研究所からウイルスが漏れた明確な証拠は開示されていない

HIV発見でノーベル賞を受賞したリュック・モンタニ博士が、新型コロナは人工ウイルスであると論文を発表しこの論文によれば、SARS-CoV-2 は中国武漢にある研究所から誤って流出したものであり、このウイルスには人為的な操作が組み込まれているとされています。

恐らくこの研究所がHIVのワクチン開発のためにコロナウイルスを人工的に操作を行い、2019年の後半に誤って外部に流出したものというのが同博士の推測となっていますが、残念ながらこれを裏付けるような事実は未だに発見されていないのが現状です。

ただ、コウモリのウイルス研究の第一人者として世界的に有名な中国科学院武漢ウイルス研究所(レベル4のバイオセーフティ施設)の石正麗研究員が、数百もの極秘文書を持ち出してパリの米大使館に駆け込んだという噂が駆け巡ったため、いよいよ事実が判明するのではないかという期待も高まりましたが、実は当の石氏は亡命していないことがわかり、武漢の研究所からウイルスが漏れたという事実は今のところ誰も証明できていないのが実情となっています。

米国の対中制裁が債券市場に猛烈な混乱を起こす可能性も

SCMP・サウスチャイナモーニングポスト紙が報じたところによりますと、米国が対中制裁の一環として中国が保有する米国債を無効化するような動きにでれば、中国側は一斉に保有米債の売り浴びせを開始し、米債市場は大混乱に陥る可能性があるとしています。

ここのところ米債保有額を減らしつつある中国ではありますが、もともと米債が海外の投資家や中央銀行、金融機関の保有も多いだけに、これから財政出動でさらに国債発行を余儀なくされる米国にとっては中国とのいざこざから中国側が米債大量売却などに踏み切った場合には、それがきっかけで株式市場も含めた相場暴落、二番底狙いの動きが加速する可能性もありそうです。

米国がそこまでのリスクを冒して中国保有の米債の無効化に踏み切るのかどうかははっきりしませんし、米国政府はそのようなことは絶対にないと否定しています。

しかし、米国の国際緊急事態経済権限法(IEEPA)に基づけばこの無効化は物理的には可能であることから、まったくあり得ない話しではなさそうです。

またトランプは実際にやらなくても口にしかねないので、一時的にせよ相場に大きな影響がでることが非常に危惧されるところです。

現在中国は日本についで世界で二番目に米債を保有していますが、これを一気に売り浴びせるような動きに出た場合、中国自身も損失を食らうことになるでしょうが、米債市場は大混乱となり株価の大幅下落によるさらなる暴落を招きかねないだけに警戒すべき時間帯となってきています。

本来そこまですることはないというのが常識的な見方ですが、新型コロナでは世界的に経済が崩壊の危機にあるだけに、何がおきるか判らないという意識は常に持っている必要がでてきているようです。

ハリウッド映画などでは、宇宙人や世界の人間に共通に害を及ぼすウイルスなどの感染が起これば、国を超えて人々が協力してなんとか乗り越えていくというのが共通のストーリーになるものです。

現実世界では世界的な協調どころか個別国の保護主義的な動きが強まるだけで、とくに米中は新型コロナをきっかけにして覇権争いをしはじめようとしている点は危惧されるところです。